更新日:2021年11月20日 07:18
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<純烈物語>「やめたメンバー」と前川清がいた明治座で物語の新章が始まった<第107回>

純烈_明治座

<第107回>前川清と友井雄亮がいる明治座の空間――それは純烈物語第3章のキックオフだった

 その時、明治座館内の空気が明らかに動いた。万雷の拍手が起こったわけでも、歓声があがったわけでもない。だが、酒井一圭が口にした「やめたメンバー」の顔と名前が頭の中へ浮かび、その脳神経の反応が目に見えぬ動作となって伝わったかのようだった。  もちろん、ここでスポットライトが当てられることなどない。そのやめたメンバーは現在、一般人。酒井が「会場のどこか」と言ったように、どの席へ座っているかメンバーも把握していなかった。  千穐楽の数日前、酒井はインスタライブの中で友井雄亮が明治座へ来ることを明かしている。だから公演中、どこかでそれについて触れると予想した観客もいたと思われる。  それは、やはりというべきか前川清とのやりとりの中だった。本当に「サラッ」という音が聞こえてきそうな流れ……それが、酒井の考えていた自然な形だった。

漠然とどこかで決着をつけたい、何か句読点のマルをつけたい

「具体的にこういう目標として持っていたわけじゃないけど、漠然とどこかで決着をつけたい、何か句読点のマルをつけたい思いがあって。明治座さんからオファーをもらった時に“キラッ”てなったよね。自分の中でも……右腕を失ったから。踊るムード歌謡グループとしてやってきて、独自のダンスをあいつと一緒に作ってきたというのがあって、それがプツっと途絶えて。そういう未練を決着させたかったんだと思います。  4人になって頑張っている純烈が広がっていく中で、どこかでそれをおしまいにするための自然の流れ。今回の明治座でそれになれたんだと思います。タイミング的にも前川さんのご出演があり、それが明治座で。そこに至るまで純烈も頑張って、友井は友井であがいていた。そういう姿をお互いが知っているからこそ頑張ってこられたわけだからさ」  以前、酒井は「純烈を続ける中で、本来は出演するはずができなくなった友井が前川さんと明治座に頭を下げる日が、いつか来るかもしれない」と言っていた。でも、別の形の方がベターとの直感が働いた。  よって友井は来場しながら前川だけでなく、メンバーの誰とも顔を合わせていない。千穐楽を終えた夜、白川裕二郎がツイッターにアップしたツーショットが「たまたま会った」とされていたのはそのためだ。  かつての仲間たちが役者として熱演する姿、恩人である前川と歌のステージに立つ光景……友井は、どんな思いで眺めたのだろう。紅白歌合戦出場を夢見て、いいことも悪いことも共有してきた5人は、現在の立ち位置の違いを表すかのように、同じ空間へいながら別の場所にいた。
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直接会うのが無理なことはわかっている
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(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。

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