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<純烈物語>後上翔太が初めてヒーローになるための動機 兄貴分役として山本康平が意識したこと<第110回>

純烈ジャー2

アイパッチ姿の健康センターの店員を演じる山本康平氏(一番右)

<第110回>後上翔太が初めてヒーローになるための動機。兄貴分役として山本康平が意識したこと

 昨年10月、大泉の東映撮影所にて『スーパー戦闘 純烈ジャー』の制作現場を見学させていただく機会があった。暗いスタジオ内は出演者とスタッフでごった返し、純烈の4人だけでなく大御所・前川清も泰然自若そのものにイスへと座っていた。  待ち時間中、ほかの出演者は思い思いに位置を変えるのだが前川だけは姿勢よく微動だにせず、自分の出番を待っている。スタッフやお付きの人が気を遣おうとしても「いいからいいから、気にしないで」と意思表示するだけで、あとは無言のままだ。  小田井涼平は5分ごとに会話する相手が変わっていた。酒井一圭はスマホで世の中の動向をチェックしたり、別件の打ち合わせをしたりと暇なように見えて実は忙しい。  白川裕二郎はスマホで動画を見て振付の練習。待ち時間さえもムダにしないという姿勢がうかがえる。後上翔太もセリフなのか歌詞なのかをぶつぶつと呟いている。そうした中で、後ろ髪を結い短パン姿にアイパッチをしながら動き回る人物がいた。

アイパッチの男が働いている健康センター

 その時点では、このようなキャラクターが出演することを知らなかったので、ただ者ではない空気を感じ取った。取材時、山本康平本人にそれを伝えると笑いながらアイパッチ秘話を明かした。 「あれに関する説明はなかったんです。おそらく昔の映画に同じようなキャラクターがあって(佛田洋)監督的にそういう絵がほしかったんだと思うんですけど、僕もなんらかの色はあった方がいいんで、渡されて『はい、わかりました』と。そこは意識することなく、アイパッチをしているなというぐらいにとどめました。  だって、普通に考えたら怪しいじゃないですか。アイパッチの男が働いている健康センターなんて、けっこうなことですよ。だから、異様な雰囲気を感じさせないように自然な感じでやろうと。ケガしているのかな、過去になんかあったのかなぐらいに抑えて、見る側の想像に任せるキャラ設定を考えましたね。カメラが回っている時以外もつけていましたけど、あれって遠近が変わるのでけっこう大変なんです」  山本演じる三井康助は、純烈が訪れる浴場施設で働く垢すり職人。劇中では、特に後上の兄貴分としてその関係性が描かれる。  酒井、白川、小田井とは特撮ヒーロー俳優時代からの交流があったのに対し、後上は今回が初めて接点となる。そこで山本は、作品に生かせる距離感を築けるよう接した。
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後上翔太の兄貴分としての関係性を意識
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(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。

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