クレイジーケンバンドのリードギタリスト・小野瀬雅生氏。10年以上1日も欠かさず更新してきたブログの内容は音楽やバンド活動よりも食に関わることが圧倒的に多い。なかでも偏愛とも言える氏の “焼きそば愛” の集大成、
『焼きそばの果てしなき旅』では全国50以上もの焼きそばの名店が紹介されている。
どの焼きそばも甲乙付けがたいそれぞれの魅力に溢れているが、焼きそば初心者のために「焼きそばに対する価値観が変わってしまう“ウマウマウー”な一皿」を5つ、ピックアップしてもらった。
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5位 小樽・龍鳳「ブラックサバス焼きそば」
ブラックサバス焼きそば
キン・ザ・ザ麺
漆黒の安息日をご一緒に。普通盛で麺2玉(1玉だとハーフサイズ)のヴォリュームも凄いが、そのネーミングと餡の黒さの迫力は圧倒的だ。でも味わいの方はドゥームだったりヴォイドだったりはせずに正統派。熱々で黒々とした餡は濃厚な中国のたまり醤油「老抽王」の旨味の深さと山椒のピリッとした刺激が絶妙なアンサンブルを奏でていて、それが焼き付けられた麺にたっぷり絡んで箸が止まらなくなる。
タケノコとキクラゲの細切りの食感もたまらなく嬉しい。冷めるのなんて待ってはいられない。一口食べたらブラックサバス焼きそばの熱きグルーヴのトリコになること必至。他にもピンクフロイド焼きそばやキン・ザ・ザ麺など秀逸なネーミングの焼きそばヴァリエーション多数。ウマウマウー。
「龍鳳」
大阪・長谷川の「焼そば」
お好みのソースの量を追加するスタイル
何と云っても味付けがされていないのが特徴。ソースは各自で卓上の容器からかける後がけスタイル。麺は白っぽくストレートな太麺。具は薄切り牛肉と淡路島産タマネギ乱切り。この構成だけでも普段の焼きそばに対する思い込みを根底から覆されるような気になる。
ソースはサラッとしたウスターソース。お店の方からは「4回し」を推奨される。ソースに火を通さないのでソース自体のスパイシーな味わいや香りがヴィヴィッドに味わえる。味も食感も秀逸な太麺とはこれ以上はないと思えるほどの相性の良さ。一口食べたらもうどうにも止まらない。戦後間もない頃に流行ったオールドスタイルを1990年代に復活させた焼きそばなれど、その味わいに古くささは微塵もなく、むしろ斬新ですらある。ウマウマウー。
「長谷川」
3位 神戸・天一軒「ヤキソバ」
神戸・天一軒の「ヤキソバ」
ヤキメシも絶品
このお店に来るとほぼ必ずヤキメシと焼鳥モモカタイ(骨付き鶏・ほぐしてもらう)をオーダーしてしまうが、ヤキソバも素晴らしいのを知っている。見知らぬ酔客に「ここはヤキソバを食べなきゃダメだよ」と諭されたこともある。逸品と云うのはその店そのものの味がするもので、ここのヤキソバは正にこのお店そのものを食べているような気になる。
塩味ながら濃厚な旨味を纏った平打ち麺を一口食べれば宇宙の彼方にまで自分の感覚がすっ飛んで行って余所の星で「コレハウマイ」と叫ぶことになる。途中で卓上のウスターソースをかけて味変するとあらビックリ、洋食の味わいに急接近してモダンな気分になること請け合い。他の料理もどれもウマイのであれこれ頼んで食べ過ぎるもよし、ストイックに一品だけ食べて店を後にするもよし。営業時間が短いのでご注意を。ウマウマウー。
「天一軒」
「龍鳳」
住:北海道小樽市稲穂 4-4-9 営:11:00~20:00 休:木(祝日の場合は営業、翌日休)
「長谷川」
住:大阪府大阪市東成区中本5-26-6 営:11:30〜14:30 17:00 ~ 21:00(日・祝は
11:30〜15:00 )休:月
「天一軒」
住:兵庫県神戸市中央区琴ノ緒町4-1-100 営:18:00 ~ 22:00 休:水
「第一亭」
住:神奈川県横浜市中区 日ノ出町1-20
営:11:00~14:00(昼営業休止の日アリ) 16:00 ~ 21:00 休:火
「鉄板焼ちゃん 富士宮駅前店」
住:静岡県富士宮市中央町9-3
営:11:00 ~ 14:30 17:00 ~ 23:00(月火木金)11:00 ~ 23:00(土)11:00 ~ 22:00(日祝) 休:水(祝日の水曜は営業。翌日木曜休)