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「具なし焼きそば マーガリンのせ」週5で食べてた貧乏少年思い出の味

 幼少時代、貧困だった人間にも、苦労を笑顔に変えるご馳走があった。母が、父が、祖母が作ってくれたその料理は、質素でありながらも、彼らにとって忘れることのできない思い出として残っている。そんな「貧困飯」を、悲しくも愛情に満ちた数々のエピソードとともに紹介する感動企画。  飽食の時代といわれる昨今とは違い、昭和の食卓には貧しさに抗うべく手作り料理のアイデアが溢れていた。世代ごとに異なる貧困飯。当時の世相と合わせて振り返ってみる。
具なし焼きそば マーガリンのせ

《具なし焼きそば マーガリンのせ》焼きそばの味つけはウスターソースだけだが、マーガリンをのせることでコクが増し、意外とおいしい料理に。が、体には絶対に悪そうだ

「包丁を使わないから安全だろうと父が僕のために考えてくれた」

北西幸太郎さん(仮名・36歳・神奈川県生まれ・会社員)  家の中が空っぽになっていた。 「3歳のときですかね。母親が家から出ていったんです。父も経営していた会社を部下に乗っ取られたようで、それから僕の貧乏人生が始まりました」  都心のおしゃれなマンションから、郊外の小さなボロアパートへ夜逃げ同然で引っ越し。会社を乗っ取った部下に背負わされた借金返済のために、北西さんの父親はトラックの運転手になった。 「父の仕事は夜だったんで、夕食前に出かけてしまうことが多かったんです。そんなとき、僕一人でも作れる料理だと、父が考えてくれたのが『具なし焼きそばのマーガリンのせ』だったんです」

週5ペースで食べていた油ギトギトの父の味

 3袋100円の焼きそばの生麺にソースをかけて炒める。そこにマーガリンをたっぷりのせるだけの料理。これを週5ペースで食べていたという。 「包丁を使わずに作れるから、小学生の僕でも安全だろうと、マーガリン好きだった父が考えてくれたんです。あと、マーガリンをギトギトにのせると腹持ちがいいんです。それ以来、焼きそば以外にもやたらとマーガリンをのせるようになりました」  奨学金で大学に行き、一人暮らしを始めたとき、贅沢に初めてバターをのせてみた北西さん。 「なんか、違うんですよ。やっぱりマーガリンじゃないと。あの安っぽい味が僕にとって『父の味』なんです」 ★北西さんの貧困川柳『マーガリン 親子でかけた なんにでも』 ― [泣ける貧困飯]を再現 ―
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