仕事

コロナ転職先がブラックだった。それでも「前職よりマシ」と思えるワケ

コロナ禍でも「ノーマスク接客」を強いられ…

マスク 国内でコロナ感染者が増えだした昨年2月、転職を決定づける出来事がふたつ起こった。ひとつは、会社のコロナ対策への姿勢だ。 「まず、マスク着用が“実質禁止”でした。もともと販売員はマスク禁止のルールがあったんですね。なのでコロナが流行り始めた頃は、ノーマスクで接客しなければいけませんでした」  今でこそ接客業でも当たり前になっているマスクの着用。しかし昨年初頭はまだ「マスクをしての接客は失礼だ」という風潮が強かった。彼女が働いていた店も、例に漏れずそうだったという。 「感染者が増えてきて、周りの店では接客時のマスク着用が広がりました。そこでやっと会社の上層部から、『マスクを付けたい人は付けてもいいですよ』とお達しがあったんです。  でもその頃には、マスクも消毒液も品薄で買えない状態。会社から1箱だけマスクが支給されましたが、スタッフの人数を考えても足りるわけがありません。そして何より、エリアマネージャーが猛反対していたんです。顔が見えないのはお客様に失礼だからって」  透子さんは「会社としてもマスクはやっぱり反対だけど、気遣っていますよって姿勢を見せなければいけない。マスクが足りない状況なら、『お客様に失礼だからスタッフが自主的にマスク着用を控えている』ってことにできると考えたんでしょう」と振り返る。  コロナに対する会社の見解も楽観的なもので、不信感は募っていった。そしてある日、退職の決め手となる通達が届く。

ありえない個人情報集め

ブラック企業「新入社員キャンペーンが課されたんです。それは『スタッフ1人につき、ブランドのインスタへのフォローとメルマガの登録を100人集める』というものでした。お客様はもちろん、家族や友人に声をかけてとにかく登録してもらえと。  それだけならまだしも、登録してくれた人のインスタID・名前・メールアドレス・電話番号をExcelで提出するよう言われました。不備があればカウントされませんよ、と。個人のSNSアカウントと本名を結びつけるなんて、ヤバいじゃないですか」  企業の個人情報管理が厳しい時代に、考えられないような方針。登録を1件ずつ確認するためのスタッフまで配備されたそうだ。百貨店での勤務経験があり、個人情報の取扱いについて厳しく指導されていた透子さんにとっては、目を疑うものだった。 「キャンペーンの趣旨自体が、会社への忠誠心を示すためのものでした。『会社がやれと言ったことをちゃんとできる社員なのか、それを見るために実施する』と、人事から明言されましたから」  透子さんは「この内容は法律的にもまずい」と先輩社員や上司に訴えたが、「これの何が問題なの?」とまったく取り合ってもらえなかった。 「今までも毎年、新入社員に対して似たような内容のノルマを与えていたそうです。過去には新入社員の保護者から苦情が入り、会議にも上がっていたそうですが……慣例だからと続けられていました。  今いる社員はこの洗礼を乗り越えてきた人ばかりなので、後輩がやらなくて済むようになるのは気に食わなかったんでしょうね。会社に絶対服従する人間のみを残すためだとも考えられます。ブラック体質全開の行事ですよ」  別企業で販売員をしている友人に相談した透子さん。友人からは、「それはおかしい。もし登録してってお願いされていたら、私は友達をやめていた」と返ってきた。  百貨店にも出店しているブランドでありながら、個人情報取扱いに対する意識の希薄さと、危機感のなさ。透子さんは違和感を持つと同時に、絶望感すら覚えた。 「それが決定打となって会社に見切りを付け、今年3月末に退職しました。もともと不満も溜まっていたし、『人間関係を壊してまで、この会社にしがみつく理由はない』と思って。ただ、継続勤務日数が足りず、失業保険は下りませんでした」
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緊急事態宣言でハローワークが休業
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