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戦後最も偉大な総理大臣・池田勇人の人生はまさに「漫画の主人公」だ/倉山満×大和田秀樹

現在、『ヤングチャンピオン』(秋田書店)で『角栄に花束を』を連載中の漫画家・大和田秀樹と憲政史家・倉山満。ジャンルの違うふたりだが、共通点がある。「池田勇人」だ。『疾風の勇人』の著者である大和田氏との本対談は、9月29日に『嘘だらけの池田勇人』を上梓した倉山満氏たっての希望で実現した。しかし、なぜ、多くの人にとってはその評価すら曖昧な池田勇人なのか?
言論ストロングスタイル 特別編

(写真左から)憲政史家・倉山満氏と漫画家・大和田秀樹氏。ふたりの対談の全容は、YouTube「チャンネルくらら」にて公開。現在、前編が配信中 撮影/恵原祐二

池田勇人の人生はまさに「漫画の主人公」

大和田:逆になぜって聞かれるほうが、なぜって感じですね。以前、別の出版社で池田勇人の企画を出したときも、「ハハハ、面白いですね」で一蹴されたんですが、ちょっと調べれば、ドラマチックな池田の人生に創作意欲を掻き立てられると思います。「これは漫画の主人公だ」って。非主流派から総理にまで成り上がる。ある意味で成り上がり伝説ですよね。 倉山:同感です。高度経済成長を起こし、経済大国日本の礎を築いた池田勇人について、私もずっと書きたいと思っていたのですが、大和田先生の連載が始まり、これは敵わないと諦めていました。これからというところで終わってしまったのが残念ですが、池田勇人の復権を目指し、大和田先生の後を追うべく、今回『嘘だらけの池田勇人』を書きました。それにしても、どうして池田勇人って一般的には人気がないのでしょうか。

自分の失言を持ちギャグに。今なら『しくじり先生』に出られそう

大和田:昭和22年生まれの池田嫌いな母いわく「いけすかない官僚そのもの」に映ったそうです。高度経済成長を体験した世代の人も「貧乏人は麦を食え」とか「中小企業はつぶれてもかわまない」のような発言で池田が嫌いなのではないでしょうか。 倉山:池田もそういうイメージを否定しませんでしたよね。 大和田:むしろ「貧乏人は麦を食えでおなじみの池田です」などとラジオで言って、持ちギャグにしてましたよね。今の政治家が、それやれたら人気出ると思うんですよ。『しくじり先生』に出られそうです(笑)。
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高度経済成長を起こしたのは池田なのに、影は薄い
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