更新日:2021年11月07日 23:38
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戦後最も偉大な総理大臣・池田勇人の人生はまさに「漫画の主人公」だ/倉山満×大和田秀樹

司馬遼太郎にとっての幕末が、我々にとっての戦後になってきた

言論ストロングスタイル 特別編

憲政史家・倉山満氏

倉山:最近の本に関して、ウィキペディアの要約のような、事実関係をまとめているのが偉いという風潮が嫌で嫌でしょうがない。 大和田:漫画はキャラクターだからこそ本質が大事で、最悪、「すみませんでした」と謝れば許してもらえます。自分はウソが描きたいです。「本当?」と言われて「ウッソー」と(笑)。どっちでもいいと思うんですよ。 倉山:本質が大事ですよね。『疾風の勇人』で抗議とか、来ましたか? 大和田:読者からは、ひとつもありません。校閲だけです。 倉山:無味乾燥とした歴史学者の文章よりも時代小説や漫画のほうが、はるかに企業経営者やサラリーマンに刺さります。 大和田:司馬遼太郎が幕末を書いたのは1950~’60年代ですよね。時間的に司馬遼太郎にとっての幕末が、我々にとっての戦後になってきています。関係者が亡くなり、描きやすくなってきた。 倉山:やっぱり当事者が生きていると書きにくいですよね。

自伝を出す間もなく亡くなった池田勇人

大和田:それに池田さんは事実上、在任中に亡くなったと言ってもいい。自伝を出す間もなく亡くなってしまった。それで側近であった伊藤昌哉さんの感情の入り方がすごい『池田勇人 その生と死』ぐらいしか参考になる伝記がありません。当時は、あれが客観だったんでしょうね(笑)。 倉山:伊藤の主観と宮澤の捏造だけ。 大和田:池田に対する評価は誤りが大きい。それだけならまだいいけど、スルーされている気がします。「好き」の反対は「嫌い」じゃない。無関心。 倉山:『疾風の勇人』を完結する予定はないんですか? 大和田:『角栄に花束を』が売れたらアリですよね。 倉山:ぜひ。楽しみにしています。 【大和田秀樹プロフィール】
『角栄に花束を』

『ヤングチャンピオン』にて連載中の大和田秀樹氏による『角栄に花束を』(秋田書店)

‘69年、茨城県生まれ。漫画家。‘98年、『たのしい甲子園』(角川書店)でデビュー。代表作は『機動戦士ガンダムさん』(角川書店、連載中)。『ヤングチャンピオン』秋田書店)で『角栄に花束を』を好評連載中 【参考記事】⇒「田中角栄」の裏に埋もれた戦後最高の総理大臣とは/倉山満 <取材・文/徳岡知和子>
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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