デジタル

ソフトバンクのスマホ教室に潜入「家族に聞けない悩みを解決しながらスマホの楽しさを伝えたい」

 いまや日々の生活になくてはならないスマートフォン(以下 スマホ)。2012年あたりから、4G通信に対応したスマホが各キャリアから発売されたのを機に、スマホの普及率は一気に拡大し、今では老若男女問わずに持ち歩く端末となっている。  近年では5G通信網の拡大や5G対応のスマホも登場しており、さらにスマホが日常生活のインフラ化していくことが予想されるだろう。一方で、携帯電話やスマホの進化が目まぐるしく、そのスピードについていけないユーザーも一定数存在している。そんなお客様向けに、携帯各社の店舗で定期的に行われているのがスマホ教室だ。
金木浩司

ソフトバンク湘南台でスマホアドバイザーを務める金木浩司さん

 操作の仕方や使い方などをレクチャーし、スマホの魅力を伝えるのが主な役割となっているが、ユニークなスマホ教室を運営し、多くのリピーターを獲得しているのがソフトバンクでスマホアドバイザーを務めている金木浩司さん(48歳)。  同社が実施するスマホアドバイザーAWARDにてスマホ教室部門1位を受賞しており、100回以上参加するリピーターもいるという。  今回は、金木さんがスマホ教室で心がけていることやリピート率を高めるコツについて話を聞いた。

「デジタル格差に悩むお客様の力になりたい」という想い

ソフトバンク 金木さんは量販店で仕事をしていた際、ソフトバンクのスマホアドバイザー職を知り、「どうしてもやりたい」という思いから上司に直談判して異動を申し出たそうだ。 「実は幼少期にいじめられていた経験がありました。そんななかで母親から教わったのは『とにかく周囲の人を幸せにすること』でした。困っている人、負い目に感じている人の助けになりたい。こうした使命感を持っていた自分にとって、スマホアドバイザーはデジタル格差に悩むお客様の力になれるのでは。そう思って買って出た仕事だったんです」  こうしてスマホ教室を行うようになった金木さんだが、最初はお客様とどうコミュニケーションを図って関係性を構築するか思い悩んだという。 「お客様は、新しいことにチャレンジするのを嫌ったりためらったりする人もいます。 家族からスマホやLINEを勧められても、使い方に困っていることも多い。そんなネガティブな状況があるなか、スマホ教室ではどう接することで興味を持ってもらい、継続的に参加してもらえるのかを考えることが大変でした」

スマホ教室を「受講者が成果を発表する場」に

 ソフトバンクのスマホアドバイザーは、他社キャリアのように販売スタッフが業務の延長線上で行うのではなく、スマホ教室を専任で行う職種になっている。  ただ一方で、教室進行の工夫の仕方は個人の裁量に任されているという。 「無難に定められたカリキュラムに沿って教えても、インプットばかりの一方的な講義になってしまうので、絶対にお客様は飽きてしまうなと。当初から思っていました。そこで私が考えたのは、お客様一人ひとりが主役になれる『アウトプット型』のスマホ教室でした。ただ参加するのではなく、もっとスマホのことを意欲的に学びたいと思ってもらえるような場づくりを心がけています」  規定のカリキュラムはあれど、単に教科書通りに教えたのではスマホの本当の魅力が伝わらない。  金木さんは、同じカリキュラムを教えるにしても、さまざまな視点から学びにつながるアイデアを考え、参加者の主体性を引き出せるように意識しているそうだ。 「私のスマホ教室の大きな特徴は、毎回宿題を出すこと。お客様と雑談しながら趣味を把握し、興味関心のあるテーマに沿った宿題を出すようにしているんです。こうすることで、次回も参加しやすくなる。お客様があれこれと試行錯誤し、取り組んだ宿題(成果)を参加者の前で披露するようにすれば、やる気にもつながりますし、達成感も得られます。スマホ教室を『お客様が成果を発表する場』にすることで、自然とリピートが増えるようになるんです」
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中には100回以上参加しているお客様も…
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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