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競馬場、パチンコ屋、詐欺サイトのおっさんが選んだ「2021年流行語大賞」はこれだ

競馬場で飲んだくれているおっさんに聞いた2021年の流行語

655539_m 例年であれば秋のGIで盛り上がりをみせる東京競馬場において、主にストロングゼロを手にしているおっさんを対象にアンケート調査を実施するが、残念なことにコロナ禍の影響により、競馬場も場外馬券場WINSも制限入場を実施しているため実施が困難であった。  競馬場にあれほどいた競馬場に来ることが生きがい、みたいなおっさんども、このコロナ禍の2年間をどのように凌いでいるのか。安否が気遣われるところだ。  競馬場でのアンケート調査が難しいということで、今回は競馬好きのおっさんどもが巣食うLINEグループにおいてアンケート調査を実施した。結果は以下のとおりである。 1.マカヒキ 2.エフフォーリア 3.福永金返せ 4.ブロディ 5.鉄アレイ  日本ダービーと天皇賞秋を制した3歳馬エフフォーリアを抑えて8歳馬であるマカヒキが堂々の1位となった。おっさんどもの心に訴えかける何かがあったようで圧倒的な得票を獲得した。  マカヒキとは、2016年のダービーを制したのち、5年間まったく勝ち星に恵まれなかった馬だ(国内では勝ち星なし、フランスニエル賞(G2)のみ)。ダービー馬という称号は思いのほか重い。普通はここまで勝てないとダービー馬の名前が傷つく前に引退させてしまうのだけど、マカヒキはレースに出続けた。  2021年の天皇賞春においては12番人気の8着とダービー馬とは思えない人気の低さ、だれも勝つとは思っていない状況であってもマカヒキはレースに出続けた。もう終わった馬みんながそう思った。ダービー馬の恥さらしとまで言われ、バカにする人までいた。  2021年10月京都大賞典(G2)、事件が起こる。9番人気だったマカヒキは直線で突き抜け見事に1着を獲得したのだ。ニエル賞から約5年、日本ダービーからは5年4か月ぶりの勝利となり、GI勝利馬の史上最長間隔での勝利記録を打ち立てた。

3位は福永騎手への私怨である

 日本ダービーという競馬界最高の栄誉を手にしたのち、苦しみ、バカにされながらもレースに出続け、5年後に勝利を手にする。競走馬にとって5年はけっして短い時間ではない。その姿におっさんどもは自分を重ねたのだろうと。俺も馬鹿にされても頑張ろう、LINEグループはそんな決意で盛り上がっていた。でも、マカヒキはダービーとっているけど、僕たちは別にダービーに相当する過去の栄光はないですよね。単に勝てなくて苦しんだとこだけ同じですよね、と発言したらLINEグループが静かな海のように微動だにしなくなってしまった。  3位の「福永金返せ」に関しては、毎年、僕の一票だけでランクインする流行語だ。サンプル数が少ないため3位以下は1票あればランクインするし、順位は好みでつけている。福永騎手の乗る馬に馬券を投じ、外れた時に僕が発する言葉だ。最近では、馬券を投じていなくても言うことがある。とにかく福永に金を返して欲しいのだ。  4位の「ブロディ」は東京競馬場の開門待ちの行列にいる名物おばさんだ。プロレスラーの故ブルーザーブロディに髪型が似ているのでそう呼ばれている。ただ、コロナ禍の影響により2年近くまともに競馬場が開いていないので開門待ちの行列も本格的には形成されていない。もし、競馬場が完全な形で営業再開したとしても、はたしてかつての常連や名物おばさんがそのまま健在でいるのだろうか。そんな心配の声からランクインとなった。  5位の「鉄アレイ」については全く意味が分からなったので挙げた本人に理由を聞いてみた。格安航空などを利用する場合には、機内に持ち込める手荷物は7キロまでという制限があるらしい。そこまで厳密に測定されることは少ないが、搭乗前に秤が置かれていて、7キロより重そうな荷物を持つ人は自己申告で重さをはかりに行き、制限内ですよというシールを貼ってもらうそうだ。  ある程度に大きなリュックなどを持っている人が不安で重さを測るなら理解できるのだけど、まれにめちゃくちゃガーリーな服装をした若い女性が、むしろそんな小ささのバッグに何を入れるの? こけし? というレベルの小さなバッグを測定し始めることがあるらしい。  おっさんはあの大きさで7キロ超えるならそりゃもう鉄アレイでも入っているんだろ、と言いたくなるらしい。そういった意味で「鉄アレイ」を挙げたそうだ。アンケートの趣旨をまったく理解していなくてビックリした。
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パチンコ屋で開店待ちの列に並んでいるおっさんに聞いた、2021年の流行語
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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