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競馬場、パチンコ屋、詐欺サイトのおっさんが選んだ「2021年流行語大賞」はこれだ

パチンコ屋で開店待ちの列に並んでいるおっさんに聞いた、2021年の流行語

 こちらの調査も主にパチンコ・スロット好きのおっさんどもが集まるLINEグループにて実施した。パチンコ屋においてはコロナ禍の初期においては休業要請が出されるなど、かなりの苦境を強いられたが、いつのまにかそういったこともなくなり、コロナ禍の前とそう変わらない状況になりつつある。開店待ちの行列も普通に形成されているところが多い。  ただし、行列が形成されているからといって、あちこちに話しかけるのも良くないのでこちらも遠隔でアンケートとなった。結果は以下のとおりである。 1.喫煙所 2.新庄剛志 3.遊タイムハイエナ死ね 4.ウマ娘 5.鉄アレイ  2020年4月1日より全面施行された改正健康増進法により、パチンコ屋の店内も原則として全面禁煙となった。パチンコ屋とタバコは相関が強く、訪れる客の喫煙率はかなり高い。そんな場所も完全禁煙にしたのだから大きな騒ぎだ。そこに設置された喫煙所が堂々の一位となった。  喫煙所を設置といっても、そもそもそこまで土地が余っているわけではない店などは、人間を冷凍保存するコールドスリープ用のポッドみたいな狭小の喫煙所を設けているようだ。そこにおっさんが4人詰め込まれてタバコを吸った話などを聞かされた。はみ出して吸うと怒られるので立体的なパズルみたいになっていたらしい。  2位の新庄剛志に関してはおそらくパチンコには関係ないのだと思う。これはたまたまその時にホットだった言葉を答えただけだ。ただし、これは重要な示唆で、これまでの調査においてパチンコファンのおっさんどもは比較的に真面目にパチンコに関する言葉を回答する傾向にあった。それがこうして無関係な言葉が入っているので、おそらくおっさんどもの心もパチンコから離れつつあるのだと思う。

パチンコ店のおっさんから「ウマ娘」が挙がった理由

 3位の「遊タイムハイエナ死ね」は、怒りの声といったところか。遊タイムとは、際限なくお金を吸い込むのではなく、ある程度のお金を吸い込んだらほぼ当たり確定みたいな状態にしますよ、という救済措置のシステムだ。これを狙って、当たりが近く、優位な台を狙って店内を、時には複数店舗をただただ徘徊する連中がいる。それらの連中やその行為を総称して「ハイエナ」と呼ぶ。  これがあまりに多いと、集中できないどころか、もしかして自分が今やめたらハイエナされるんじゃないか、などとあまりいい気がしないらしい。「ハイエナには刑事罰を科して欲しい、できれば死刑か無期懲役」などの過激な意見が散見された。また、「昔はもうちょっとで当たりなのにやめそうな初心者がいたら、もうちょい打ってみな、当たるからよとアドバイスしてくれる人がいたもんだけどね、俺も若いときはそれでパチンコにはまったもんよ。世知辛いね」という嘆きの声が見られた。  競馬のおっさんどもから出なかったのにパチンコのおっさんから「ウマ娘」が出て4位にランクインした点も興味深い。おっさんレベルになると競馬好きには刺さらず、パチンコ好きに刺さるということだろうか。もともとガチャを伴うスマホゲームはパチンコファンとの相性が良い。開店待ちの行列でもほとんどの人がスマホゲームをプレイしているくらいだ。  5位の「鉄アレイ」に関しては競馬のところにいたおっさんと同じおっさんだ。競馬好きでもあり、パチンコも好きでパチンコを見ながらスマホで競馬を見ているおっさんだ。「鉄アレイしか入らないようなカバン持ってさ、鉄アレイを飛行機に持ち込んでどうしよっていうんだ、ハイジャックか」などと話が止まらなかったので、本当に帰ってほしいと思った。
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ワンクリック詐欺サイトの電話番のおっさんに聞いた、2021年の流行語大賞
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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