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「俺の脊髄をなんだと思ってるんだ」人は痛みを経て、一つずつ賢くなっていく

行きつけのパチンコ店の掲示板で起きていた出来事

 もうけっこう昔の話になるのだけど、当時、僕が足しげく通っていたパチンコ店があった。その店にはけっこう客の多いお店で、某匿名掲示板にもお店専用のスレッドがあり、匿名での情報交換が盛んに行われていた。といっても、パチンコ店、ギャンブル狂い、匿名掲示板、と毒と毒が混ざり合い、互いに衝突しあう蟲毒みたいな状態ではまともに情報交換されるわけもなく、スレッドは悪口で満たされていた。  この店は出ない、あの店員はむかつく、そのうちこの店は潰れる、みたいな店に対する悪口から、次第に常連客に向けた悪口が話題の中心となっていった。といっても、別に常連客の名前を知っているわけではないので、そこは個性的なニックネームを付与することで個人を識別していた。  本当にひどい話なのだけど、ロン毛の太った男なら「ロン毛ブタ」「ブタタク(キムタク風のブタという意味)」みたいな感じだ。そして、これは本当に衝撃的だったので僕は何度もこのエピソードを話しているのだけど、そのなかで、そいつに村でも焼かれたかと言いたくなるほど悪口を言われまくっている「カラカッサ」という常連客がいた。カラカッサとはファミコンゲームの忍者じゃじゃ丸くんに出てくる傘のお化けだ。

カラカッサとパルペンという、謎の2大嫌われ客

 それとは別に、親でも殺されたかと思うほどに悪口を言われている「パルペン」なる常連客の悪口も盛んにやり取りされ、この店においてはカラカッサとパルペンの二大巨頭が嫌われている感じだった。  カラカッサに関しては由来もわかるし、たぶん傘のお化けみたいな髪形とかそういう感じなのだろうと思うけど、パルペンに関してはその由来や意味が全く分からなかった。ただ掲示板の面々は当たり前のようにカラカッサの悪口を書き、パルペンの悪口を書いていた。それが生きがいかと思うほどにだ。ただ、特にパルペンの意味や由来を調べようとは思わなかった。 「今日もカラカッサ、キモかったな」  と書き込まれていれば、いるだけでキモいといわれるカラカッサかわいそうと思った。 「今日も来てたな。北斗を打ってた。カラカッサを見た日は飯がまずくなる」  飯がまずくなるとまで言われるカラカッサ、ここまで嫌われるってなにしたんだ。 「この間、カラカッサとパルペンが喧嘩していて笑った。どっちも死ねよ」  嫌われ者の二大巨頭であるカラカッサとパルペンが喧嘩していたらしい。こうして悪口書き込みを「ひどいなー」とか「カラカッサってどんなやつなんだろ」とか思いながら眺めていたら衝撃的な事実に辿り着いた。
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ひょんなことで知ってしまったカラカッサの正体
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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