ニュース

なぜプーチンを擁護?今あえて鈴木宗男氏に聞く、プーチンの頭の中

「プーチン大統領は一切ブレていない」?

 森喜朗氏との首脳会談をお願いすると、彼は手帳を取り出し、「4月29日、サンクトペテルブルクで世界アイスホッケー選手権試合がある。私がホストだ。そこに次期総理を招待しよう」と約束してくれたのです。柔道を愛する彼は“礼に始まり礼に終わる”を心得え、約束を守る政治家です。  そのときはプーチン大統領から頼みごともされました。会談の終了後に役人たちをみんな外に出すと、「ロシア正教のアレクシイ2世は我々にとってローマ法王に並ぶ存在だ。6月に天皇陛下との謁見をお願いしているのだが、まだ決まっていない。是非とも謁見の機会を設けてくれないだろうか。実現すれば、ロシア国民が日本に抱く印象はまったく違ってくる」と言いました。  私が宮内庁と調整すると、その年の9月に来日したプーチン大統領と私は個別会談をしました。その場でプーチン大統領は、二島返還に触れた‘56年の日ソ共同宣言は日本の国会もソ連の最高会議(現在のロシア連邦議会にあたる)も批准した国民との約束だと認めてくれたのです。  そして約束通り、翌年のイルクーツク声明に至った。そういう信頼の積み重ねがあって外交は動いているのに、小泉政権で田中真紀子氏が外相に起用されると全部の流れをぶち壊してしまいました。そして、次の川口順子外相はイルクーツク声明を取り下げた。日本が約束を破っているのです。いまに至るまでの21年間、プーチン大統領は一切ブレていません。

ロシア軍による侵攻は認められないが…

 ウクライナ問題も同じ構図があると思います。  もちろん、大前提として力による主権の侵害は断じて認められることではありません。しかし、ロシア軍が侵攻に至るまでの過去の経緯は十分考えなくてはいけないと思います。国際政治の場で、どちらか一方が完全な善で、もう片方が完全な悪ということが本当にあり得るでしょうか。NATOは東方拡大しないという約束をしたのはどこの国でしょうか。  ‘15年に『ミンスク合意II』でプーチン大統領とウクライナのポロシェンコ大統領は停戦に合意しました。にもかかわらず、その後、ゼレンスキー大統領は「俺が署名したものではない」と合意を守らなかったのです。昨年10月には攻撃ドローンを親露派地域に飛ばした。  約束と礼節を重んじるプーチン大統領が怒るのには理由があるのです。「日米安保条約は岸信介総理が結んだものだから」と細川護煕氏や鳩山由紀夫氏が反故にしましたか? 外交の継続性というのは当然なんです。プーチン大統領は変わっていません。
次のページ
鈴木宗男氏が考える「今やるべきこと」
1
2
3
おすすめ記事