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プーチンの思惑がはずれ、対独戦勝記念日はロシア国内で反戦運動が広がる契機となる!?

―[今週の顔]―

5・9戦勝記念日

 2週間後に迫る5月9日、ロシアの対独戦勝記念日がウクライナ侵攻の大きな転換点となりそうだ――。
プーチン

プーチン大統領は、マリウポリのウクライナ軍が最後の砦として立てこもるアゾフスタリ製鉄所への総攻撃は中止した。代わりに「ハエ一匹逃げられないよう」と封鎖を命じる 写真/SPUTNIK/時事通信フォト

 4月21日、プーチン大統領はショイグ国防相からウクライナ南東部の要衝マリウポリを「掌握した」との報告を受けると、特別軍事作戦の“成功”を宣言。さらにロシア国営放送は、5月9日にはマリウポリでパレードを行う予定と報じた。拓殖大学教授の名越健郎氏が話す。 「戦勝記念日は一大イベント。モスクワだけでなくロシア国内各地、北方領土でもパレードが行われる。コンサートや花火も打ち上げられ、一日中盛大に祝う。ウクライナの戦況が劣勢のままではこの日を迎えられないので、プーチンは軍事的成果を強調するため、さらに戦闘を激化させるかもしれない」  現在、主戦場は東部ドンバス地方に移っている。 「これまではNATOがウクライナ軍に提供した対戦車ミサイル『ジャベリン』がかなりの効果を発揮した。ただ、東部では広大な平原での戦いとなるため、隠れた場所からの戦車攻撃は難しい。戦車戦になればロシアが有利。そこで新たに米国から提供された自爆型ドローン『スイッチブレード』に期待がかかっている」

年内いっぱいは戦闘が続くとの分析も

 政治日程に間に合わせようと焦るロシア軍だが、欧米の情報機関は年内いっぱいは戦闘が続くと分析している。 「そもそも戦勝記念日を一大イベントにしたのはプーチンです。’05年に愛国心を鼓舞するために、60周年にあたる戦勝記念日にブッシュ米大統領や小泉純一郎首相など各国首脳を招待し、盛大に祝ったのが始まり。しかし、今年は大きな転換点になるかもしれない。  いくらロシア国内で情報が統制されているとしても、大規模に市民が集まれば、口コミでブチャでの虐殺など、ロシア軍の非人道的行為を市民は知るでしょう。ロシア国内で反戦運動が高まるきっかけになるのではないか」  どこまでプーチンの思惑通りに進むのか? 市民の闘いにも注目したい。 =====
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石油・天然ガスも禁止へ。経済制裁が貧困層を直撃
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