そこで思い出すのが、アメリカの伝説のパンクバンド、Dead Kennedys(デッド・ケネディーズ)の「Holiday In Cambodia」(1979年)という曲です。
「Holiday In Cambodia」
テレビや新聞のニュースなどで世界情勢を知った気になっている中流家庭の子供たちに、ポルポト支配下のカンボジアへ行ってみろとけしかける。大学でマルクス主義を学んだぐらいで革命家気取りになり、ジャズを聞きかじっては、スラム街に暮らす黒人たちの厳しい境遇に同情を示すぼんぼん連中。
「Holiday In Cambodia」は、そうした“リベラルアーツ”をクソミソにこき下ろすのですね。
<500ドルもするステレオシステムでエスニックジャズを流して
“俺ってイケてる”と悦に入っては
ひもじい思いをする黒人たちにこそ魂が宿るのだ
なんてもっともらしくホラを吹く>
Playing ethnicky jazz to parade your snazz
On your five-grand stereo
Braggin’ that you know, how the niggers feel cold
And the slums got so much soul
<カンボジアの休日
ガチの貧民窟へようこそ ポルポト>
A holiday in Cambodia
where the slums got so much soul
Pol Pot!
(Lyrics by Jello Biafra 筆者訳)
ここまで極端ではなかったとしても、目の前でテロや戦争と向き合う人たちの訴える“NO WAR”と、“戦争はいけない”と説く道徳的な非戦との間には、決して小さくない隔たりがあるのだと思います。