更新日:2022年04月04日 10:34
お金

ドコモ、大戸屋、不二家…続出する「大量閉店」。復活のカギはイオンモールにあり

「コンビニスイーツ」には勝てない不二家

不二家

マスクをするペコちゃんが話題となった不二家

 不二家は、洋菓子事業と、クッキー菓子など菓子類を製造・販売する製菓事業の2つを展開しています。製菓事業は好調ですが、洋菓子事業は赤字で足を引っ張っています。  厳しい状況が続くなかで、コンビニスイーツの存在が響いています。コンビニスイーツは、おいしいスイーツを手ごろな価格で提供しており、「プチ贅沢」したい消費者の需要を取り込んでいます。ペコちゃんの不二家のケーキを、クリスマスや誕生日といった特別な「ハレの日」にだけ家族で食べた思い出がある人も多いでしょう。  その他、中元・歳暮といったギフトで利用される需要を取り込むことで成長してきました。  しかし、「ハレの日需要」も「ギフト需要」も年々減ってきています。コロナはその傾向に拍車をかけました。  スイーツは「日常的」に「自分にご褒美」として食べる機会が増えました。その需要を一手に担うコンビニスイーツに、不二家は押されている格好となり、大量閉店を余儀なくされています。

金太郎アメのショッピングモールを辞める「イオンモール」

 ショッピングセンターといえば、どの店舗に行っても違いがほとんどない「金太郎アメ」のようなイメージがあります。むしろ、そのほうが、どこに行っても商品のクオリティーが保たれている信頼感があるのが、ショッピングセンターでした。  しかし面白くはない。地域ごとに地域の色合いやカラーを出していく店舗の方が、むしろ面白いし、楽しいと感じている人も増えてきています。  モールは「お祭り」要素が必要なのです。  現在、イオンモールの取組みでは、各モールごとに「カラー」を持たせる施設開発を行っています。  例えば、名古屋駅周辺に開業した「イオンモール」(ナゴヤノリタケガーデン)」はイオンモールとして初のオフィス併設型の施設です。総賃貸面積のうち、オフィスが4割近くを占めるという新しい取り組みです。  名古屋の例は、駅に近いという立地を活かして、オフィス需要を取り込む戦略です。店舗ごとに、地域や顧客ごとのニーズを細かく分析し、地域に根ざした店舗づくりは、これから最も求められるニーズだと考えられます。
次のページ
効率化と差別化のはざまで…
1
2
3
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

記事一覧へ
おすすめ記事