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なぜ綾瀬はるかは視聴率を稼ぐのか。稼げない女優との違いと世間の誤解

好感度だけではない演技力

 好感度が高いだけで視聴率は獲れない。綾瀬はうまいのだ。  人気がブレイクしたのは2004年の連ドラ版『世界の中心で、愛をさけぶ』(TBS)で、白血病に倒れるヒロイン・亜紀を演じた。当時は典型的な清純派だったが、今は違う。3枚目役も汚れ役もこなす。演技の幅が広い。  それでも当初の清純派の印象が見る側に焼き付いたままになっている。本人の素のキャラクターもピュアだと受け止められている。だから汚れ役をやろうがイメージは傷つかない。これが高い好感度が維持されている理由だろう。 『元彼の遺言状』で演じる主人公は弁護士の剣持麗子。今回は汚れ役である。性格が悪いのだ。頭が良く美人でスタイルも抜群であるものの、それゆえ他人を見下してしまう。その上、裁判はどんな悪辣な手を使ってでも勝とうする。おまけにおカネが大好きなのだ。

原作は「このミス」大賞の小説

 物語は麗子が半年間だけ付き合った元カレ・森川栄治(生田斗真)が他界するところから始まる。  栄治は「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という奇妙な遺言状を残していた。その財産が1080億円と途方もなかったから、周囲の目の色が変わる。栄治の死を麗子に伝えてきたのは篠田敬太郎(大泉洋)。栄治が暮らしていた別荘の管理人だった。  その篠田は麗子に対し「代理人になって僕を犯人に仕立ててほしい」と提案する。晴れて篠田が犯人となったら遺産は山分け出来る訳だ――。   原作は東大院修了で弁護士資格を持つ作家の新川帆立さん(31)の同名小説。2020年の「このミステリーがすごい!」で大賞を受賞した。物語が面白く、主演も綾瀬だから、当たる要素がほぼ揃った。
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低視聴率女王という名の濡れ衣
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