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中高年は「稼げる資格」を取っても就職できない?シニア転職のリアル

下積みからやり直さなければ就職できない?

 では、自分がこれまで経験した職種でしか転職できないのかというと、そんなことはない。  もちろん、経験がない場合、経験が長い人よりも不利な転職となるのは仕方ないがチャンスはある。その方法は「一度、下積み期間を経験する」というものだ。「この歳になってまた下積みからやり直すなんてとんでもない」という人もいそうだが仕方ない。その分野に関してのキャリアがない場合、地道に積み上げ直すしかないのだ。  前述の「一念発起して税理士資格を取ったが経験がない人」の場合も、いきなり税理士として就職するのではなく、まずは「税理士補助」での就職を目指すなら、「会計事務所勤務経験はあるが税理士資格がない人」よりも受かりにくく、給与も安い可能性があったとしてもキャリアを描くことができる。  歳も歳だし下積みの時間なんてないと思うかもしれないが、実は、中高年の下積みは「成果を出せるか出せないかの見極め」つまり「試用期間」のような意味合いが強く、成果を出せればどんどん待遇が良くなることが多い。下積み期間は若い人よりも短くなる場合が多いのだ。  問題なく業務をこなすことができれば、半年や1年といった短期間で補助業務からやりたい仕事を任せられる可能性もある。もちろん職場やトップ次第のため、就職時の見極めも重要だが。  未経験でも目指したい仕事があるという中高年の人は、「資格を取れば安心」ではなく、下積み期間も計算に入れたキャリアプランを描くことが近道だろう。

経験優先の副業がキャリアのプラスに

 では、例えば20代・30代などの人が、中高年となる前にスムーズな「第二のキャリア」を目指すために今のうちから準備しておくとすれば、何をすればよいのだろうか?  もちろん一番やるべきは「経験を積む」ことだが、目指すキャリアの経験を今のキャリアで都合よく積めるわけがない。そこで今の時代、特にオススメしたいのが「副業」である。事例の未経験で税理士資格を取った人も、会計事務所での複業経験がわずかでもあれば、状況はかなり違っただろう。  当然、副業での経験時間は十分に取れない。そもそも、本業に打ち込みながら副業をするだけでも大変な場合も多いだろう。そこで、まずは「欲張らないこと」が重要になる。  例えば、「副業で得るものを経験だけに絞る」のは有効だ。「お金も経験も」ではなく、経験を積むことだけに集中すれば、効率もよくモチベーションも続く。同様に、あれもこれもと副業や経験の「数」を増やすのも禁物だ。本業も転々とするより集中した方が評価されやすいが、副業もあまりに幅を拡げると経験としても微妙になる。  人生100年時代と言われる現代では、計画的に将来を見据えて取り組むことで、複業が人生を大きく左右する武器になることもあるのだ。
50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中
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