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“0文字で早押し”の謎に迫る前代未聞の小説。著者・小川哲は「クイズには全く強くない」

クイズに正解できる理由は人生のどこかでその人が、正解と出合っていたから

小川哲

『君のクイズ』
賞金1000万円がかかったクイズ大会決勝の最終問題で、なぜ対戦相手は「0文字押し」で優勝できたのか。朝日新聞出版。価格1540円

その感覚は読者も同じだ。主人公の思考や心情を高解像度で描写した文章と胸躍るストーリーによって、「クイズプレイヤーとしての人生」を小説で追体験することができる。 「クイズに正解できる理由は、その正解と人生のどこかで出合ったから。クイズに正解することは、自分の人生を肯定することにも繫がる。人生で得た経験や情報をもとに物語を作っていく、小説家も同じなんですよ」

この本は理論上200万部までいけると計算しています(笑)

クイズプレイヤーは人生を使ってクイズを解き、作家は人生を使って小説を書く。ならば……自分は? 物語のラストまでたどり着けば、そう探りたくなるはずだ。 「最も知名度のあるクイズプレイヤーの伊沢拓司さんが率いるQuizKnockのYouTubeチャンネル登録者数は、約200万人。なので、この本は理論上200万部までいけると計算しています(笑)」 彼の考えは、正解となるか? 【小説家・小川 哲】 ’86年、千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。’15年に『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト〈大賞〉を受賞しデビュー。『ゲームの王国』で日本SF大賞&山本周五郎賞をW受賞。『嘘と正典』で直木賞候補となる。『地図と拳』で山田風太郎賞を受賞 取材・文/吉田大助 撮影/清水将之
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