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飲食店で「少し多めに」の注文に困惑する店員。ピーク時はムリ

 飲食業は、ほかの業種と比べると、さまざまな業務を同時にこなさなければならない。たとえば、客の入店対応から、料理のオーダーと提供。とくにランチタイムやディナータイムは忙しくなる。そんななかで、客の何気ない行動が、じつは「歓迎されていない」場合もある

「少し多めに」は“特別サービス”であることに気づいてほしい

食堂(レストラン)での配膳のようす

※写真はイメージです。以下同

 学生客の多い食堂でアルバイトをしていた徳永菜緒さん(仮名・20代)は、常連の「ご飯少し多めに」への対応に困っていたのだとか。 「お客様が少ない時間帯は、店長も『気持ちもったるわ』という感じで、少し多めに対応していたので、私も同じようにしていました」  しかし、昼食のピーク時となれば、そうはいかない。客はそんな時間帯でさえ「ご飯多めがいいです」と軽いノリで言ってきたという。 「いくら顔なじみで、親しみを込めて頼まれても、周りのお客様に見られたらと考えると対応できませんでした。そんなときは、『気持ちだけね』と言い、ご飯を多く盛るふりをして何とかごまかしていたんです」

ピーク時は客とのコミュニケーションは二の次

大盛り唐揚げ定食「お客様はコミュニケーションのつもりかもしれません。でも、大勢のお客様の前では対応に困りました」  客全員に同じ対応をしていては赤字になり、かといって、下手な断り方をすると「サービスが悪い」などと変な噂を流されてしまうと考え、とても苦労したそうだ。 「忙しい時間帯は、お客様も限られた時間内に食事をしようと必死ですから、『いかに早く』美味しい料理を提供できるかが勝負です。正直、お客様とのコミュニケーションは二の次になってしまいます」 「話しかけないでほしい」ということではなく、「状況を考えてほしかった」と徳永さんは言う。 「でも、私も学生の頃は同じような感じだったので、社会人経験のないお客様にわかってもらうのは難しいなと感じていました」  このアルバイトを経験したことで、徳永さんは、飲食店に行っても店員に話しかけることはなく、料理が提供されるまで「待つ時間」を楽しむようになったそうだ。
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失礼な態度の客
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2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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