更新日:2022年12月14日 16:17
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日本人が学ぶべき“正しい怒り方”とは。「あの時怒っておけば…」と後悔しない方法

謝罪はしない方が良い

 悪いことをしていないにもかかわらず、勢いに押されて謝罪してしまうケースもあるが、「ケンカや論戦は“謝罪の言葉”をどちらかが発したところでゲームセットになります」という。 「一度負け犬になったら最後、人間関係に上下がつき、これは容易にはひっくり返ることはありません。相手にどんなに押されても謝罪だけはしてはいけません。謝罪すれば、その場は険悪な状況から脱することはできますが、その後は風下に立たされるでしょう。『めんどうだから謝ってさっさと処理しよう』と考えて謝った時点で、今後は相手から何を要求されるかわかりません」  怒らないことのデメリットが浮き彫りになったが、それでも面と向かって怒れない人もいるだろう。そんな人のためのアドバイスとして、「電話中に相手の前でわざと乱暴な声を出したり、電話を切って机を拳で叩いたりなどのパフォーマンスも有効です。要するに『こいつ、怒らすとヤバいかも』と思わせれば良いのです」と話した。

なぜ日本人は怒らないのか?

 怒り方についていろいろ聞いてきたが、日本人はとりわけ怒らない傾向が強いように感じる。なぜ日本人は怒らないのか聞くと、「コロナ禍において同調圧力ということが日本人社会の特性として論議されました」と解説する。 「仏教伝来の聖徳太子の時代から、『和を以て尊しとなす』が公私を問わず日本人の規範になったとも言われます。西洋が、お互いが一歩前に出る社会とすれば、東洋とりわけ日本は一歩引く社会と言っていいでしょう。  これも仏教的な思想で“自利利他”ということになります。言い換えれば“人が先、我は後”ということです。これは素晴らしい美風ではありますが、グローバル社会となった現代では通じないでしょう」  最後に「怒りを感情のハケ口と捉えるのではなく、人間関係術、交渉術としていかに活かすか、そういう時代になりました。正しい怒り方は必須のスキルと言えるでしょう」と締めた。  怒れらないことで良いように利用されている人は少なくない。向谷氏の話したことを意識して、まずは第一声目を決めてはどうだろう。 取材・文/望月悠木
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
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