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歌舞伎町卍會総長と関係を築いた人々が語る、トー横を守るハウルの功罪

’22年6月、16歳少女への東京都青少年健全育成条例違反(未成年淫行)容疑で逮捕されたハウル氏。事件の一部は認める方向性で動いていたが、真相を話すはずだった裁判の前に東京拘置所で謎の死を遂げる。トー横界隈の動揺は計り知れない。
歌舞伎町卍會総長・ハウル(小川雅朝)

ハウル(本名・小川雅朝)
新宿でボランティア活動をする団体・歌舞伎町卍會の総長。’22年6月に未成年淫行の疑いで逮捕。11月22日には初公判を控えていたが、その8日前の14日に東京拘置所で急死

罪人としてネットで叩かれ続けた男が現代に残したもの

 ’22年11月15日の昼下がり。珍しく閑散としたシネシティ広場の一角に、トー横の雰囲気には似つかない、一輪の白いバラが手向けられた。それに気がついた子どもたちは誰が示し合わせたわけでもなく、花束やエナジードリンクなど思い思いの品で弔っていく。そして最後にやってきたひとりが線香をあげた。その日はトー横界隈のカリスマであった歌舞伎町卍會総長・ハウル(本名:小川雅朝)の急死が報じられた日である。
トー横キッズ

活動拠点だったトー横広場には、有志で簡易的な献花台(左)が設けられた。供えられたシャンパンには「次は地獄でカンパイ!」の文字が

「最初に供えられた白いバラには『心からの尊敬』という花言葉があるんです。誰が置いたのかはわかりませんが、思わず込み上げてくるものがありましたね。私も合掌したときは『また天国で清掃しような』と伝えました」  ハウルとともにトー横の治安を守ってきた卍會幹部のJさんは、当日の様子をそう語る。ハウル氏は清掃や炊き出しの慈善活動を行い、200人近い会員がいるボランティア団体・歌舞伎町卍會(以下卍會)を率いていた。

トー横の治安維持の役割も担っていたハウル

「ハウルはなにかと見た目の美しさが持て囃されるトー横で、いかにカッコよく見られるかを意識していました。逮捕後にハウルの家を整理した際、彼が愛用していたブーツに20センチほどのソールが詰め込まれていて、そこで初めてハウルが身長を盛っていたことを知りました。ハイヒールのようなブーツを履くことで180センチほどの高身長を演出し、威厳を保とうとしていたのかと思います」
ハウル

逮捕後に見つかったシークレットブーツからは彼の美意識の高さが窺える。何枚ものソールをガムテープで固定し、高身長を演出していた

 このハウル氏の背伸びは、結果的にトー横一帯の治安維持にもつながっていたとJさんは続ける。 「彼のカリスマ性を持つルックスからか、彼の忠告に従うキッズは多く、案件(援交)やODへの防波堤の役割も担っていた。その証拠にハウル不在の現在のトー横は無法地帯ですよ。トー横キッズ同士での暴力沙汰も多くドラッグも蔓延。広場の女のコの話では『大久保の乱交パーティーに参加して欲しい』と悪い大人に売春の案件を持ちかけられたり、車で拉致されそうになったコもいたと聞いています」
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ハウルの“カッコつけ”とも取れる言動の功罪
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