仕事

46歳男性、会社で初の“男性育休”を取得。経験者が語る「休暇とはほど遠い毎日」

口が裂けても言えなくなった言葉

育休

写真はイメージです

 仕事から育児&家事の毎日へ。それまでの日常が一変するということは何かと大変なことが多い。だがその分、新たな気づきに出会えることもある。育休くんも今回の体験を通じ、初めて知ったことや考え方の変化などがあったそうだ。 ——育休中はどういった家事をしていましたか? 育休くん:私は料理を担当していました。それまではパッと見ではキャベツとレタスの区別もつかないくらい料理とは無縁の人生だったので、クックパッドなどを見ながら悪戦苦闘の毎日。でも、慣れてくると意外と楽しいんですよね。それと不思議なもんで、子供って自分で作ったものなら苦手なものでも食べるんですよ。例えば「今日はサラダ大臣に任命します」と言って上の子にサラダを作ってもらうと、普段はあまり食べない野菜をモリモリ食べたりして(笑)。 ——育休を取って初めて知ったことや今までと変わったことをTwitterでも書かれてましたね。 育休くん:ホントにいっぱいありました。特に自分の中で衝撃的だったのがスーパーの商品の安さ。コンビニがどれだけ高いか初めて知りましたよ。料理しなかったら一生気づいていないでしょうね。あとこれまでは、嫁に「今日の夕飯は何がいい?」って聞かれた時に「なんでもいい!」って答えてましたけど、今は口が裂けても言えなくなりました。マジで毎日の献立を考えるのって、こんなに大変なんだって痛感したので(笑)。 ——では結果的に取得して良かったと思いますか? 育休くん:はい。もちろん、普段の仕事とは違ったストレスはありましたが、人生経験としてはすごく貴重な体験をできたので人として一回り大きくなった気がしてます。何よりキャベツとレタスの区別がつくようになりましたから(笑)。  しかも、フリーランスでは取得できないサラリーマンの特権ですからね、使えるのに使わない手はないと思います。

「育休」というネーミングから変えていくべき?

 育休を取得したいと思っていても、会社の状況や自分の立場的に言い出しにくい人がいるのも事実。そんな人たちがもっと気軽に取れるようになれば、おのずと取得率はアップするわけだが、その為には、もっと社会全体の雰囲気を変える必要があると育休くんは言う。 ——実際に取得してみて、今後これまで以上に男性の育休取得率を上げるためには何が必要だと思いますか? 育休くん:まず育休制度の仕組みをみんなに周知させることですね。給付金が国から出てるってことを知らず、会社が払っていると思っている人が意外と多いんですよ。そうなると「あの人は給料泥棒だ!」という勘違いが生まれる。それから、よっぽどの高給取りや多額のボーナスをもらっている人以外は、ほぼ手取りが変わらないこともしっかりと伝えることが大事かなと思います。  あとは「育児休暇」というネーミングを変えるべきですね。特に「休暇」って言葉がよくないですよ。「休暇=遊び」っていうイメージが少なからずあるじゃないですか。あの人は会社を休んでるうえにお金をもらって遊んでるって思われると、そりゃ取りづらいですよね。実際は休暇とはほど遠い毎日なのに。  だから、最近よく耳にするテレワークにならって「育児ワーク」とかにしたらいいんじゃないですか。「来月から育児ワークしたいです」なら、なんかちょっと言いやすくなって、男性の育休取得率も上昇する気がします。   *  *  *  今回のインタビューで印象的だったのが「育休はサラリーマンの特権。使わない手はない」という一言。たしかに、フリーランスの筆者からすると羨ましい制度である。誰もが気兼ねなく取得できるようになるにはもう少し時間がかかりそうだが、取れる環境にある男性の方は人生経験の一環としてチャレンジしてみてはいかがだろうか? 「人生100年時代」が叫ばれている今、育児に没頭する1年があっても決して悪くはないだろう。 取材・文/サ行桜井
パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。
X(旧Twitter):@sagyosakurai
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