更新日:2023年04月09日 01:39
エンタメ

2023年春ドラマ16本を総ざらい。テレビ各局の“狙いと傾向”を考察する

個性派揃いの恋愛ドラマ4本

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番組公式HPより

 ラブストーリーも冬ドラマより1本多く、4本ある。ただし、ドラマ界が保守化しているわけではないようだ。個性的な作品ばかり。  高畑充希(31)と田中圭(38)がダブル主演する『unknown』(テレビ朝日)は高畑演じる週刊誌記者が実は吸血鬼だった。  奈緒(28)が主演する『あなたがしてくれなくても』は主人公が自分を抱こうとしない夫(永山瑛太)に不満を持ち、上司(岩田剛典)に急接近する。 『王様に捧ぐ薬指』(TBS)はラブコメディー。橋本環奈(24)が演じる貧乏な美女が、ウェディングプランナーとして勤務する結婚式場の御曹司(山田涼介)からプロポーズされる。だが、実は契約結婚の提案だった。御曹司は自分が結婚することで結婚式場の広告塔になることを目論んでいた。橋本は貧乏な家族を救うために結婚を承諾する。本物の恋に発展するか。 『わたしのお嫁くん』(フジテレビ)もラブコメ。波瑠(31)が演じる主人公は家電メーカーの敏腕営業ウーマンだが、家ではズボラ。そんな主人公と家事力抜群の後輩社員(高杉真宙)がルームシェアする物語。

4本中3本は人気漫画が原作

『unknown』(テレビ朝日、火曜午後9時、18日から)主演・高畑充希、田中圭 ■『王様に捧ぐ薬指』(TBS、火曜午後10時、18日から)主演・橋本環奈 ■『わたしのお嫁くん』(フジテレビ、水曜午後10時、12日から)主演・波瑠 ■『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ、木曜午後10時、13日から)主演・奈緒  4作品のうち、『unknown』を除く3作品は人気漫画が原作。ラブストーリーに限らず、漫画などを原作とするドラマに大半の視聴者も制作者も抵抗がなくなっている。これも世界共通の潮流だ。  たとえばイギリスで制作され、ネットフリックスが全世界に配信し、大ヒットしたドラマ『このサイテーな世界の終わり』(2017年)も原作は漫画。どうアレンジするかが脚本家の腕の見せどころだ。  脚本家の性別を見てみると、冬ドラマは15作品中10人が女性だった(共同脚本の筆頭執筆者も含む)。春ドラマは4人と半減以下。だが、たまたまだろう。性別に関わらず、力のある人が起用されるのだから。  日本脚本家連盟が主宰するスクールの脚本家クラスは近年、男性約4割に対し女性約6割。ほぼ拮抗している。脚本家全体ではまだ男性が多いが、女性が増えている。
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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