タイムリープは過去ではなく未来へ
番組公式HPより
ほかの春ドラマは次の通り。
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『合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~』(フジテレビ系・関西テレビ、月曜午後10時、17日から)。
天海祐希(55)が扮する頭脳派探偵が、得意の変装を生かし、さまざまな依頼を鮮やかに解決する。
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『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ、水曜午後10時、12日から)。
芳根京子(26)が主人公の飲料メーカー新米社員に扮し、商標権などの知的財産を巡って奮闘する姿を描く。
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『弁護士ソドム』(テレビ東京、金曜午後8時、28日から)。
福士蒼汰(29)が主人公の弁護士に扮する。ただし、弁護するのは弱者を騙した詐欺師ばかり。何が狙いなのか。
大好評だった冬ドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ)に続き、タイムリープものもある。ただし、過去に戻るのではなく、荒涼とした未来へ飛ぶ。
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『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(TBS、金曜午後10時、21日から)。
山田裕貴(32)が演じる主人公たちが乗っていた電車の1車両が、未来にタイムリープ。そこには食料どころか、水もなかった。電波もないのでスマホは使えず、もちろんSNSも機能しない。そこから、乗客たちがどう生き抜くのだろうか。元の世界に戻れるのか。極限状態下の人間が描かれる。
医療モノは1本だけ。異色作だ。
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『Dr.チョコレート』(日本テレビ、土曜午後10時、22日から)
坂口健太郎(31)が演じる主人公の元医者は利き腕を失い、義手を付けている。天才的な手術スキルを持つ10歳の少女とタッグを組み、患者を次々と救う。
テレビ朝日が新しく設置するドラマ枠で最初に主演するのは清野菜名(28)。
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『日曜の夜ぐらいは・・・』(テレビ朝日系・朝日放送、日曜午後10時、30日から)
清野が演じる主人公のファミレス店員がラジオを通じ、タクシー運転手(岸井ゆきの)、工員(生見愛瑠)と出会い、やがて固い友情で結ばれる。脚本はハートフルドラマの巨匠・岡田惠和氏(64)が書く。
お笑い芸人の青春劇もある。
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『だが、情熱はある』(日本テレビ、日曜午後10時30分、9日から)
主演は King & Prince髙橋海人(23)とSix TONES森本慎太郎(25)。オードリー・若林正恭(44)と南海キャンディーズ・山里亮太(45)の軌跡を描く。
枠が増えたのはドラマファンには朗報に違いない。しかし、問題もある。ドラマ同士が重なってしまうのだ。冬ドラマまでもNHKとTBSの火曜午後10時、日本テレビとフジテレビの水曜午後10時がぴったり重なっていたが、春ドラマからはさらにテレビ朝日の日曜午後10時台と日本テレビの同10時半が半分重なる。
1年前にフジが水曜午後10時台にドラマ枠をつくり、日本テレビに挑戦状を叩き付けた形だったが、今度はテレビ朝日が日本テレビに戦いを挑む。
ドラマは当たると高視聴率が期待できるうえ、配信動画用の有力コンテンツにもなるから、近年はどの局も制作に積極的。この流れは止まりそうにない。観る側は録画を忘れないようにするしかない。<文/高堀冬彦>
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員