更新日:2023年04月13日 12:27
お金

飲食チェーンの“倒産ドミノ”が止まらない。「協力金バブル」で分かれた明暗

 2023年3月14日宅配ピザの株式会社シカゴピザが自己破産手続きに入りました。負債総額は15億円でした。2月27日にはお好み焼き店「いっきゅうさん」を展開する株式会社ダイナミクスも破産申請を行いました。一時は100店舗以上展開する外食企業で、負債総額は110億円に上りました。  2月1日には、長崎市で和食割烹や回転ずし店を運営する田中食品株式会社が、10億7000万円もの負債を抱えたまま破産手続きを行いました。  最近は比較的規模の大きな外食企業の倒産が目に付くようになりました。
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百戦錬磨のプロ経営者でも…

 2月27日に倒産したダイナミクスは、国内を代表する投資ファンド、ユニゾン・キャピタルが出資していた会社。倒産時に代表を務めていた斎藤泰氏は、同ファンドのマネージメントアドバイザーとしても活躍していました。ダイナミクスは投資ファンドからの出資を受け入れ、トップに経営のプロフェッショナルを迎えても倒産を免れませんでした。  同社の倒産は、今の時代に飲食店を運営する難しさを如実に物語っています。  飲食店が苦境に陥っている理由は主に3つあります。1つ目は新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置が終了し、時短協力金を得られなくなったこと。2つ目は人々の生活様式が変化し、繁華街の居酒屋を中心に客足が戻り切らないこと。3つ目は食材やエネルギー価格、人件費が高騰して利益を圧迫していることです。  

多くの飲食店が依存…協力金の功罪

 営業時間の短縮要請に応じた飲食店に対して、1日4万円の協力金が支払われました。2021年1月からは6万円に引き上げられています。店舗の運営会社にとって、パンデミックは寝耳に水の出来事。協力金が店舗の運営や雇用の維持に寄与したことは間違いありません。  しかし、多くの飲食店がこの協力金に依存してしまいました。コロナ禍が人々の生活様式を変えるだろうことは、火を見るよりも明らかでした。ワタミは居酒屋の一部を焼肉店に転換し、鳥貴族はハンバーガーショップをオープンしました。餃子の王将はテイクアウトやデリバリーを強化し、ガストは自前の宅配システムの整備を進めました。
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回復しているようだが、まだ「6割」
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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