更新日:2023年04月13日 12:27
お金

飲食チェーンの“倒産ドミノ”が止まらない。「協力金バブル」で分かれた明暗

改革しようとする事業者は数えるほど

 飲食店は、ウィズコロナ時代を見据えた業態の転換、テイクアウト・デリバリー需要への対応が求められました。多くの飲食店が、この期間に持ち帰りができる新メニューの開発などを進めたことは間違いありません。しかし、ビジネスモデルに変革を起こすほど腰を据えて取り組んだかというと、疑問が残ります。  政府はコロナ禍で影響を受けた企業などを中心として、業種・業態転換や新分野展開を後押しする目的で、事業再構築補助金を活用する事業者を募集しました。通常枠で6000万円(補助率2/3)程度が補助されるというものです。  第1回で採択された8000を超える企業の中で、飲食店は1割ほど。全国の飲食店の数は2021年度の段階で140万を超えていますが、補助金を活用して抜本的に改革しようとする事業者は数えるほどしかありません。 「協力金バブル」という言葉がありましたが、協力金が飲食事業者の意欲を削ぎ、競争力を失わせるきっかけの一つとなった面は否めません。

回復しているようだが、まだ「6割」

 日本フードサービス協会によると、2023年2月の居酒屋の売上高は前年同月比284.8%となりました。急速に回復しているように見えますが、2019年2月比で6割の水準。居酒屋はコロナ前の活気が戻っていません。  ワタミの渡邉美樹会長は、コロナ後も居酒屋の売上は7割しか戻らないと2021年に発言しています。この予言は絶妙。普段の生活を取り戻した2023年に入っても、居酒屋の売上が6割であることを考えると、7割程度が妥当な水準でしょう。そしてこの感覚は多くの居酒屋オーナーが感じていたことに違いありません。  コロナ前の居酒屋の平均的な営業利益率は8%程度。しかも、収益の大半を宴会に頼っていました。宴会需要を失った居酒屋は、中期的に店舗を維持するのが難しいでしょう。
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アルバイトの時給は100円上昇したが…
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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