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木村拓哉の目が刺され…流血、凄惨シーンを妥協しない『教場0』は地上波ドラマの“常識”を覆した

視聴者をアッと言わせた凄惨シーン

教場0

番組公式HPより

 木村拓哉(50)が主演するフジテレビの連続ドラマ『風間公親-教場0-』(月曜午後9時)が、15日放送の第6話で大きなヤマ場を迎えた。刑事指導官・風間公親(木村)が暴漢(森山未来)に右目を千枚通しで刺された。先に滅多刺しにされた新米刑事・遠野章宏(北村匠海)を助けようとして、自分もやられた。  風間は新米刑事たちを厳しく指導してきたが、憎くてそうしてきたわけではない。刑事に向かない人間を選別しないと、本人も市民も不幸になる恐れがある。だから、刺された遠野のことも懸命に救おうとした。そのために隙ができてしまい、襲われた。  千枚通しで目を刺された際の激痛は想像を絶する。だが、風間は最後まで抜かなかった。大量出血する恐れがあるからだろうが、別の意味もあるはず。証拠保全だ。犯人の指紋が消えてしまう恐れがある。風間は他人にも自分にも厳しいことになる。

捜査、謎解きに注力したストーリー

『教場0』は新しい刑事・警察ドラマだとこれまでに書いてきた。理由は第一に長岡弘樹氏(54)による原作小説が緻密なので、謎解きの部分やストーリーに矛盾がない。刑事同士の恋愛や警察組織内の対立などを描かないから、捜査や謎解き部分が時間不足になることもない。  リアリティが重んじられているのも特徴。第6話では遺体の右肩が左肩より下がっていたことから、それが歯科医の苅部達郎(浜田信也)だと突き止めるエピソードが描かれた。歯科医は首を傾けた姿勢を長時間続けるため、筋肉や関節に負担がかかり、体の筋肉に歪みが生じることが実際にあるのだという。  土中から発見された遺体も生々しかった。バラバラで土まじり。本物にしか見えない腐乱遺体まで登場する欧米のミステリーと比べたらソフトだが、日本のドラマとしてはかなり攻めていた。  風間と遠野が刺された際に流した血も大量でリアル。近年の地上波のドラマで、大量の血が流れるシーンは滅多にない。血を嫌悪する視聴者に配慮してのことである。『教場0』の場合、作品性を重視したのだろう。
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刺されたシーンはドラマオリジナル
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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