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パパ活アプリを始めたおっさん。とんでもないプロフィールで釣果を期待するも……

プロフィールをもっと「カネの匂い」がする感じに修正

こうして レッドバロン 43歳 東京都  自己PR 石油  と書かれ、アイナメを誇らしく掲げるおっさんの写真が鎮座する意味不明なプロフィールになった。もちろん、マッチングなどしない。僕が女性だったらマッチングどうこうより、ちょっと怖い。なんだよ、石油って。 「やっぱ金の匂いがしすぎたか」 「もうちょっと金はあるんだけど金に堅実な姿勢を見せたらどうでしょうか」 「きちんと節約できる感じか。金持ちなのに質素な食事しているとかああいうやつね」 「それでいきましょう」  こうして完成したプロフィールがこちらだ。

結局はパパ活女子よりアイナメのほうがよく釣れる

レッドバロン 43歳 東京都  自己PR 金はありますが節約しています。スマホの料金が高くてお困りの方は僕のように格安SIMを使うといいですよ 「たしかに、節約に熱心で堅実な感じがでているな、さすがだな」  こんなので堅実と感じるのだから、おっさんどもはチョロい。  このように手を変え品を変え、写真もアイナメからチヌ(クロダイ)に変えてみたのだけど、この日、レッドバロンが女性とマッチングすることはなかった。 「難しいですね、パパ活」  落胆するレッドバロンを励ます。それでもレッドバロンはすっきりした表情を見せてこう言った。 「やっぱ僕にはパパ活は合わなかったみたいですね。大人しく趣味の釣りに没頭しておきます。またアイナメ釣るぞ」  最初からそうしてろよと言いたくなるのだけど、レッドバロンが元気になったようで良かった。 「パパ活も釣りも似たようなもんだな」  おっさんが吐き捨てるように言う。おっさんはいちいちアホなこと言っているようで妙に核心をついたことを言いやがる。とにかく、おっさんにはパパ活は難しい。特に金のないおっさんには難しいものなのだ。アイナメを釣っている方がまだ可能性がある。 <ロゴ/薊>
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

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