恋愛・結婚

稼ぎの悪い夫に「この人のせいで私は専業主婦になれなかった」と責め続けた妻が、関係崩壊寸前になって得た反省

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「男が稼いで当然」と思っていた妻の反省とは

 DV・モラハラ加害者が、 愛と配慮のある関係を作る力を身につけるための学びのコミュニティ 「GADHA」を主宰しているえいなかと申します。コミュニティには女性もいて、パートナー男性への加害について相談を受けることも多くあります。今回はそんな一例を紹介します。  結婚当初は仲が良く、毎週休みの日の朝は二人で掃除していたという、夫婦二人暮らしのHさん。今はお互いの部屋にこもって食事どきしか会話がなく、それも相手が黙ることがあってつまらなくなってきたといいます。 「夫が職場の愚痴を言うんです、楽しいはずの食事中に。 職場でまたクレームがあったとか人事が思うようにならないとか。なので 『日本の会社ってほとんどブラック企業だよ。 あなたは家計のために働いてるんだから我慢するしかないよ』って言ってあげたんです。なのに夫はむっとして黙り込んじゃって。愚痴なんか言わず、もっと働かないと家計が苦しいのに、夫はわかってないんです」(Hさん)  職場の愚痴を言う人についアドバイスしてしまうケースはよくあります。今回はこのケースについて考えます。

「男は女を養って当然」という価値観の暴力性

「日本の会社ってほとんどブラック企業だよ。 あなたは家計のために働いてるんだから我慢するしかないよ」 というのは一見正論であり、読んで、「私もそうだ。我慢して働いている」 と感じた読者のかたも多いと思います。  しかし、愚痴をこぼしている人は正論を聞きたいのでしょうか。仕事が辛いと思って話している時にこんなふうに言われたら、「そんなのわかってる」「そういうことが言いたいんじゃない」と感じるほうが自然です。  ましてや 「あなたは家計のために働いてるんだから」なんて言われてしまったら、『自分は奴隷か』と感じ、深く傷ついてもおかしくありません。 「男だから女を養って当然」・・・そんな価値観を背景にしたこのセリフは、暴力的です。  Hさんは「実のところ、パートナーが愚痴を言いたいのはわかっているんです……」と言いました。そこで「わかっているけど愚痴を聞けない時もありますよね。それって特にどんな時ですか?」と僕は質問してみました。  すると、女性は「特にお金のことに関わる話を聞くのが苦手なんです」と答えました。さらに「結婚前から、この人は給料が低い、私は専業主婦希望なのに、この人のせいで働かないといけないという不満がずっとあったんです」「結婚前にそれはわかっていたんです、それでも結婚を選んだのは自分なのに……」と彼女は続けました。  こうしてパートナーは深く傷ついて心を閉ざし、共に時間を過ごして楽しく会話しようという気を、失っていってしまったということがわかっていきました。
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「給料が低い男には何を言っても構わない」という加害
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DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:えいなか

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