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オッズ1.0倍の元返しでも競輪のワイド車券が3連単よりも売れる意外な理由

3連単の売上が約2000万円なのに、ワイドが約3500万円も売れたレース

競輪

実際に山野氏が購入し、倍率1.0倍の車券が的中した際のスクリーンショット

 この3つの要素が揃った「鉄板レース」のわかりやすい例が、2022年12月1日に取手競輪場で行われた第7レースチャレンジ予選だ。レースのメンバー構成とラインの並びは以下の通りだ。 ・2022年12月1日 取手競輪 第7レースチャレンジ予選出走表 1.須藤 誠(競走得点76.25) 2.岡田 哲夫(競走得点67.58) 3.竹下 翔(競走得点66.58) 4.戸邉 裕将(競走得点68.81) 5.添田 龍児(競走得点77.33) 6.古川 喬(競争得点64.89) 7.濱田 昭一郎(競走得点68.91) 並び予想 5147 3 62  添田選手の本線が人数、競争得点の面で圧倒しているうえ、初手で前受けできそうな1番車の須藤選手も本線と、「もう1-5の折り返しで仕方がない」といえるようなレースだ。  結果は大方の予想通り、1着が添田選手、2着は須藤選手、3着は戸邉選手となり、別線の抵抗もむなしく、ラインの並びのまま上位を独占する結果となった。  このレースでは3連単の売上が約2000万円なのに対して、元返しオッズのワイドが約3500万円も売れていた。たしかに、このレースにおける1=5のワイドが当たる確率はかなり高そうだが……いうまでもなく配当は1.0倍の元返しだ。ギャンブルは本来手持ちの資金を増やすために行うはずだが、このワイド1=5は当たっても入れた分がそのまま帰ってくるだけで、賭ける意味はないはず。むしろ、外れる可能性があるのだからリスクしかないはずなのだが……。

鉄板ワイドでクレジットカードを現金化?

 こうした鉄板レースのワイドが売れる背景には、民間投票サイトの仕組みにあるのではないだろうか。WINTICKET(ウィンチケット)、チャリロトなどの民間投票サイトでは投票に使えるポイントを購入し、そのポイントを使って車券を購入するという仕組みになっている。  実はこのポイントは銀行口座の預金以外からでも購入可能となっているため、クレジットカードや各種電子決済サービス、携帯キャリア決済でも購入可能。そのため、月末に引き落とされるお金が足りない場合などに、クレジットカードや携帯のキャリア決済などを使って民間投票サイトにチャージし、当てやすそうなレースのワイドに投票を行うことで、クレジットカードやキャリア決済の枠を現金化することも理論上は可能だ。つまり、急場をしのぐ手段として、競輪が使われている可能性は否定できない。  また、民間投票サイトではチャージ金額に応じたポイントバックキャンペーンを行っているところもある。こうしたポイントバックやクレジットカードをチャージした際に付与される特典などを含めると、選手の特徴などを覚えず、ただ「大量にワイドが売れているレースにブチ込む」という買い方をするだけで勝てるギャンブルに変身する可能性もあるはずだ。  ただオッズが1.0倍であっても、もちろん100%的中するわけではない。後編では、2022年に行われた2万4823レースを分析し、ワイドの鉄板レース的中率、および鉄板レースが崩れてしまったパターンをご紹介する。 文/山野祐介
フリー編集・ライター、現役AI絵師。携帯電話やポイント、ネット犯罪、節約術やお金の最新情報などに精通し、月刊誌で連載中。Twitter:@yamanoyy
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