オッズ1.0倍の元返しでも競輪のワイド車券が3連単よりも売れる意外な理由
競輪の出走表を見ていると、「このレースはこの2人でまず決まるだろうな」と思うことがある。誰もがそう思うようなレースの場合、ワイドの配当が100円になることも珍しくない。100円を掛けて100円が返ってくる、いわゆる「元返し」だ。
1~3着内の2車を予想する「ワイド」は、7車立ての場合、全21通り。3連単や2車単と比較するまでもなく、もっとも的中率が高い掛式といえる。本命のワイドが元返しになりやすいレースには「競走得点」「有利な初手」「ラインの長さ」の3要素がそろっている。まずはこちらの3つの要素について解説していこう。
最初に「競走得点」とは、直近のレースでの成績を表す数値で、勝てば得点が上がり、負けると下がるというもので、選手の調子や脚力を図る目安となるものだ。総合力が高いラインを「本線」と呼び、総合力が低いラインを「別線」と呼ぶ。本線ラインを引っ張る先行選手と別線ラインの先行選手の競走得点を比較して、本線ラインの選手が圧倒している場合、別線の先行選手は脚力的にも調子的にも劣ると判断できる。
次に「有利な初手」とは、本線となるラインが前受けできるのかという予想だ。競輪は一定の周回まで「先頭誘導員」がレースの先頭を走り、その間に各ラインは隊列を作り、その隊列を保ったまま走るという形となる。そして、この先頭誘導員を追い抜いていい周回となるとレースが動き始める。
競輪は時速60kmほどで走るため、当然スピードが出ると空気抵抗を受け、風圧で選手は体力や脚力を消耗する。となると、先頭誘導員がいないと誰も前受けをせずにレースが動かなくなってしまうのだ。つまり、先導誘導員は先頭の選手が不利にならないように風よけとなるのが役割である。
スピードが上がった状態で先頭誘導員を追い抜くためには、かなりの脚力を消耗する。前受けした場合は先頭誘導員を追い抜くための脚力を温存できるからこそ、初手予想は大切だ。初手の予想は最内枠である「1番車」の選手がいるラインから、と考えるのがセオリーである。
最後に「ラインの長さ」だ。競輪のバンクはすり鉢状となっており、横並走をすればするだけ脚を使い不利となる。そのためラインは2車より3車、3車より4車……と長ければ長いほどそのラインは有利となる。
例えば4車の本線ラインと、3車の別線ラインの二分戦で、4車ラインの本線が前受けした場合、3車ラインの別線は先頭誘導員を含めた5車を追い抜いてレースを動かさないといけなくなる。能力的に本線に劣る(と思われている)別線が、不必要に脚力や体力を消耗してしまうため、本線が前受けできるかどうかは非常に重要だ。本線にとって「楽勝」な展開になるかどうかは、ラインの長さが大きくかかわってくる。
本命ワイドが100円になりやすい「3つのパターン」
基本的にラインが長い方が有利となる
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