更新日:2023年06月16日 17:39
仕事

「いのちの電話」が繋がらない?背景には、相談員を悩ませる“不届き者”の存在も

相談員に追い打ちをかけられた人も…

現在、持病であった双極性障害は寛解し、桐島氏はかつての自分と同様に悩む人をカウンセリングするサービスを立ち上げている。匿名、予約制で、いのちの電話と異なり有料で相談を受け付ける。すると、相談者からいろいろな話を聞くことになった。 「やはり公的な機関による相談窓口がつながらずに追い詰められている人が多い印象です。なかには『ここじゃなくて、違うところに相談しなさい』などと追い打ちをかけられた人もいました。また、家庭内の問題を相談したある人は、相談員から『あなたが過去に不倫をしていたからだよ』と昔の過ちを咎められ、傷ついたと話していました。 もちろん、心に深手を負った人たちなので、相談員にそうしたつもりがなくても繊細に反応してしまう場合もあるでしょうし、発言のすべてが正確ではないのかもしれません。ただ、必死になって手を伸ばした先に、絶望感を感じている人が多いというのは事実なんです」

“寄り添える存在”になりたい

そんな相談者たちに対して、桐島氏はこんなスタンスで接しているという。 「あの当時、いのちの電話がなかなか繋がらなくて寂しかった自分を思い出して、『心の荷物を半分こしましょう。半分は私が持ちますよ』と伝えています。クライアントごとに悩みの原点は仕事、恋愛、家庭環境、友人関係などさまざまですが、悩みの入り口に立ってその先に進んでしまうと、『死にたい』などのよくない気持ちにとらわれてしまうんです。そういうとき、寄り添える存在が近くにいると思えるかどうかは大切だと思うので」
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高齢化により、遅い時間が手薄に
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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