「いのちの電話」が繋がらない?背景には、相談員を悩ませる“不届き者”の存在も
心を病む人は多い。ひとたび有名人や著名人の自死がセンセーショナルに報じられると、報道の最後に「いのちの電話」への誘導がなされるが、果たしてどの程度奏効しているのだろうか。
「もちろん、きちんと対応していただけて、自死という選択を回避できたケースも多々あると思いますが、そもそも『いのちの電話がつながらない』という声をよく聞きます」
そう話すのは、桐島ふたば氏(仮名・30代・女性)だ。
桐島氏は社会人になった矢先に精神疾患を抱え、慢性的な希死念慮を抱くようになった。精神科や心療内科への通院歴は20年近くに及ぶ。「死にたい」と「生きたい」のはざまで彼女が心の拠り所にしたのはいのちの電話をはじめとする自殺防止のホットラインだったが、必ずしも心を救われたことばかりではなかったという。
「電話対応がいかにも面倒くさそうな相談員や、『あなたはまだマシ。私はこんな経験をしてきた』と相談を聞く立場なのに自分の話を延々とする人など、さまざまです。当然ですが、電話相談員は指名制ではないので、かけたときにつながった人と話すしかありません。そうなると、当たり外れが大きいですよね」
いのちの電話に依存していた当時、桐島氏は相談員からこんな話を聞いた。
「ある相談員の方は『不安感が強くて何度もかけてくる人は多い』とおっしゃっていました。私も経験しましたが、繋がらないと社会から見捨てられたように感じて非常に追い詰められます。それで何度も何度もかけてしまうのだと思います」
いのちの電話がつながらない?
何度もかけてしまう心理は…
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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