母が「末期がん」と宣告されて目の前が真っ暗に…それでも「心の健やかさ」を保つには
仕事でミスをして凹んでいたり、大きな変化に戸惑っていたり、職場の人間関係でうまくいかなかったり……日々さまざまな悩みを抱えている人は少なくありません。そんなストレスが高い状況にあっても、それにうまく対処して、心の健やかさを保てる人もいます。
「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』で、明るく健康に生きるための「首尾一貫感覚(別名:ストレス対処力)」を紹介しています。
この首尾一貫感覚をざっと説明すると、次の3つの要素からなっています。「把握可能感」(=自分の置かれている状況や今後の展開をある程度、把握できると思うこと)、「処理可能感(=自分にふりかかるストレスや障害にも対処・処理できると思うこと)、「有意味感」(=自分の人生や自分自身に起こることにはすべて意味があると思うこと)の3つです。
今回はそのエッセンスを同書から一部を抜粋・編集して紹介します。
ここからは、実際にあった相談内容をもとに、「有意味感の高め方」についてお伝えしていこうと思います。加藤さん(仮名/30代女性)の例をご紹介しましょう。加藤さんは、私の知るかぎり、首尾一貫感覚は決して低くない人です。
しかし、生きていればいろんなつらいこと、悲しいことが起こります。事故にあったり、病気になったり、大切なものを失ったり、離別を味わったり、人生にはさまざまな出来事があります。
〈加藤さんの場合〉
ある日、60代の母が胸の一部に痛みや違和感があると言ったので、病院に付き添って行ったところ、乳がんだろうと告げられました。
その後、さらなる精密検査を終えてわかったことは、母のがんはステージ4の末期がん、手術は意味がないということでした。残された方法は体力が続くかぎり、抗がん剤を続けていくことだけだというのです。次々に聞いた“悪い意味”での想定外な説明に、目の前が真っ暗になってしまいました。
突然のがん宣告にも母は、一見落ち着いてふるまっていますが、転移の不安、治療の選択、高齢の体に抗がん剤の副作用リスクなど、心配ごとは尽きません。私自身、支えなきゃと思いつつも「どうしていいかわからない」状態です。「想定の範囲外」の出来事が続いて、何から考えていいのかわからず、混乱しています。
その違いはいったいどこから生まれるのか? カウンセラーとして、これまでに延べ1万人以上の人の相談にのってきた公認心理師・舟木彩乃さんは、著書『
「有意味感」の高め方
母が「末期がん」と宣告された
ストレスマネジメント専門家。企業人事部や病院勤務(精神科・心療内科)などを経て、現在、株式会社メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー)副社長。カウンセラーとして約1万人の相談に対応し、中央官庁のメンタルヘルス対策や県庁の研修にも携わる。著書に『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある
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