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「名前が思い出せない…」40代から始まる物忘れ、実は“脳の進化”だった

物忘れに困ったらインターネットに聞けばいい

スマホ かくいう私も、その女優の名前を思い出せず、一緒に悶々としてしまったのだけど、越後湯沢辺りで、「そうだ、インターネット!」と思いついた。携帯電話を取り出して、「社交ダンス 映画 女優 バレリーナ」と入れたら、一発で草刈民代さんが出てきた。  私たちの世代は、幸せである。「え〜っと、あれ、ほらほら」にインターネットが応えてくれる時代だ。ほどなく、AIも助けてくれる。そう遠くない未来に、私たちは、自分専用のAIと一緒に暮らすことになる。たとえば、ブローチのようにセーターにつけて歩くことになるかも。「あ〜、あれあれ、先週、○○さんとの会話に出たあれ」なんて呟いたら、ずっと傍で聞いていてくれたAIが、「□□ですよ」なんて言ってくれる。物忘れしたって、全然平気。

人工知能は間違えることもあるので、まだ要注意

 ちなみに、今話題の「チャットGPT」をご存じだろうか。まるで人間のようにすらすらと、何でも答えてくれる検索AIである。が、めちゃくちゃな噓をつくことがあるので、ご用心。 「黒川伊保子について教えて」と入れてみたら、「日本の小説家。1952年、神奈川県の生まれである。代表作に『蜜蜂と遠雷』があり、映画化されて大ヒットしている」と答えてきた。―誰?生まれ年も出身地も違う。『蜜蜂と遠雷』は恩田陸さんの小説だが、恩田さんは、ウィキペディアによれば、1964年、青森県のお生まれである。  人工知能は、しょせん「入力されたことについて、演算して、出力してくる」だけの装置にしかすぎない。人間のジャーナリストのように、「ん? なんとなくしっくりこないな……もうちょっと詳しく確かめてみるか」なんて感じることもないから、ネットの噓をそのままいけしゃあしゃあと言ってくることになる。まあ、そんなチャットGPTも、検索者のフィードバックで正解率を上げていくのだろうけどね。 〈黒川伊保子 構成/日刊SPA!編集部〉
(株)感性リサーチ代表取締役社長。1959年生まれ、奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に従事、2003年現職。『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』がベストセラーに。近著に『息子のトリセツ』『母のトリセツ
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