赤ちゃんの寝かしつけに「スマホの音楽」はOK?デジタル映像・音声が脳に与える影響
現代の子育てを、大きくサポートするのがデジタル機器の存在。しかし、その一方で、「デジタル映像や音声を幼少期から与えるのは、子どもの発達によくないのでは」との不安を抱いてしまうもの。
これに対して、「時代の流れとして、ツールを子育てに使わない事態はもはや考えられない。その上で、デジタル映像や音楽が子どもの脳に悪影響を与える基準を知っておくべき」と指摘するのは、脳科学者の黒川伊保子氏。
そこで、黒川氏の著書『孫のトリセツ』から、子育てとデジタルツールの向き合い方について、解説する。
(以下、同書より一部編集のうえ抜粋)
私は、子育ての迷いの質問にはよく「答えは、彼(彼女)が知っている」と応える。
先日、保育園の保護者のための講演会で、質問を受けた。
「1歳の子どもがいて、ときどき夜寝ないことがあって、『眠りに誘う映像』(波の映像と穏やかな波の音、みたいな)を、壁に映写しています。これでよく眠るのですが、脳に何か問題はありますか?」
「我が家も、2歳の子が寝つきの悪い子で、スマホで『眠りに誘うサウンド』を流しっぱなしにすることが多いんです。デジタルな音源は脳に悪いと聞いたことがあるけど、大丈夫でしょうか」
のちにその根拠をお話しするが、結論から言えば、これくらいのデジタル情報が、子どもの脳を壊すとは思えない。子どもたちがよく眠って、翌日、いつもと変わらないのなら、気にしなくていい。
そもそも、いくらテレビやスマホを避けたとしても、今や家電も駅のアナウンスも合成音でしゃべり、街の様々な音がデジタル音で流れている。脳がいくばくかのデジタル情報に接することは、もう避けられない時代だしね。
「万が一の心配」を言い出したら、きりがない。赤ちゃんをよく観察すれば、脳にストレスのあることが定常的に続いているのなら、必ず何か兆候がある。答えは、赤ちゃん自身が知っている。
人類の環境は、変わり続ける。常に新しい何かが生活に加わり、親や祖父母を不安にさせる。今のように目まぐるしく時代が変遷しているときは、常に子どもをよく観察していることが一番大事で、親や祖父母の勘を大事にしてほしい。周りがなんと言ったって、「うちの子には合わない」と直感したら、やめること。
子育てに迷ったとき。その答えは、子ども自身が知っている
常に子供をよく観察することが大切
(株)感性リサーチ代表取締役社長。1959年生まれ、奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に従事、2003年現職。『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』がベストセラーに。近著に『息子のトリセツ』『母のトリセツ』
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