「卒乳が遅いと歯並びが悪くなる」ってホント?祖父母世代の“ときに残酷な”育児のアドバイス
共働き世帯が増えるなか、両親だけでは子育てに手が回らないという家庭も増えている。それを受けて、近年、注目されるのが祖父母のサポートによる「孫育て」だ。企業側が「孫育て」の休暇制度を導入したり、地方自治体でも「祖父母手帳」の配布や孫育ての情報発信を積極的に行ったりする動きがみられる。
一方で、祖父母が孫育てに参加する上で気を付けたいのが、子育て常識の変化について。現在、息子夫婦の孫育てを行う脳科学者の黒川伊保子氏は、「特に気を付けたいのが、子育て中の母に不安を感じさせないこと」だと指摘する。
そこで、黒川氏の著書『孫のトリセツ』から、「祖父母が子育て中の母と接する際のポイント」を解説する。
(以下、同書より一部編集のうえ抜粋)
若い母親は、人からとやかく言われることに過敏な傾向にある。人の目をとても気にするし、否定的なアドバイスにはキレるし、落ち込む。世の中、よく、騒ぐ子どもを放っておく無神経な母親を叩くけど、過敏な母親のほうが圧倒的に多いのである。
――これ、生存本能の一部だって、知ってました?
何度も言うけど、人類の子育ては動物界最大リスクの子育てなので、森の熊や狼のように、単独の子育てはあり得ない。人類の授乳期間は、自然界の中では4年にも及ぶことがあるとされる。
人工栄養のない時代、そんな長期にわたる授乳期間中に、母親がちょっと体調を崩しておっぱいが出にくかったら、もう子どもの命が危険にさらされるのではたまらない。
コミュニティの中でおっぱいを融通し合い、互いに支え合って、人類の女性たちは何万年も子育てをしてきたのである。
そんな子育ての仕組みの中では、女同士のコミュニティの中でうまくやることこそが、生き残るためのキモなのである。このため、子育て中の女性たちには、群れから外れることが、命に関わることとして、本能的にとても恐ろしく感じるわけ。
女同士の群れの中で優位に立つためには、自分が美しいこと、子どもがうまく育っていることが意外に大事。だから、女性たちは美しくあろうとし、子どもに世間並みの躾をしようと頑張るのである。
なぜ母親は、ママ友コミュニティを重要視するのか?
女同士の“群れ”から外れる恐怖は本能によるもの
(株)感性リサーチ代表取締役社長。1959年生まれ、奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に従事、2003年現職。『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』がベストセラーに。近著に『息子のトリセツ』『母のトリセツ』
記事一覧へ
記事一覧へ
『孫のトリセツ』 AI時代の子育ては 祖父母がキーパーソン |
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ