恋愛・結婚

夫から「物音がうるさい」と言われ不満。むしろこれ見よがしに騒音を立ててしまった妻の本当の思いとは

誘うときは、断られる勇気も必要

 Aさんには、気持ちの奥に「誰かと交流したい」、特に「パートナーと一緒に買い物や会話をしたい」というニーズがあります。しかし、それをうまく表現することができず、結果的には会話の少ない家庭を自ら作ってしまったのでした。  気まずい関係が続いている時にはなかなか勇気がいることではありますが、パートナーが休みの日に、おしゃべりしながら散歩に行こう、などと誘ってみるのもよかったかもしれません。もし仮に実現すれば、一緒に運動ができ会話もできて、一石二鳥です。  ただし、誘う時に気をつけなければいけないのは、一緒に行くかどうかを決めるのは相手だということ。相手には(当たり前のことなのですが)断る権利があります。断られた時に、怒ったり、逆に過度に落ち込んだりすることは、相手を傷つけたり、罪悪感を与えることになってしまいます。 「あなたと行きたい」ということと「でも、遠慮なく断ってもらって大丈夫」という2つのメッセージを両立できるようにすることが必要です。そのためには、相手に依頼する前に「断られた時には、その日をどんなふうに過ごすか」というプランBを持っておくこともよいかもしれません。プランBも楽しみなものであれば、どちらに転んでも大丈夫と思えるからです。  プランB、プランCといった風に、人生を楽しむための方法が多ければ多いほど、こういうときに自然体で相手を誘うことができるでしょう。そんなプランを持つためにはどうしたら良いでしょうか?  誰かと話しながら運動ができるようなコミュニティに参加してみるのも良いかもしれません。これまた勇気が必要ですが、いまはネットで調べてみれば、自分の住んでいる場所で色々な運動や趣味のコミュニティに出会うこともあります。  その中で、「加齢で体力が落ちちゃって」などと言えば、誰かが「そうなんだよ。年取るとあちこち悪くなると不安が増えちゃうわね。でもボチボチ一緒に運動しましょうね」という風に、誰かとちょっとしたことを分かち合える関係を作っていけるかもしれません。 「ああそうか、私だけじゃないんだ」と聞いてもらって感謝でき、共感してもらって気が晴れて少し楽しい気分が増えるかもしれません。そして、自分もまた、誰かの気持ちの共有に対して、ケアの姿勢で応じることができれば、お互いに居心地の良い関係になっていくはずです。  Aさんは上記のようなアイデアを聞いて、「コミュニケーション下手も克服したかったし……時間がかかるかもしれませんけど、やってみます」と晴れやかな表情を浮かべました。
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もし、未成熟なコミュニケーションをとられて軽んじられたら?
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DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:えいなか

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人間関係は“ことば”で決まる


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