夫から「物音がうるさい」と言われ不満。むしろこれ見よがしに騒音を立ててしまった妻の本当の思いとは
―[モラハラ夫の反省文]―
DV・モラハラ加害者が、 愛と配慮のある関係を作る力を身につけるための学びのコミュニティ 「GADHA」を主宰しているえいなかと申します。コミュニティには女性もいて、パートナー男性への加害について相談を受けることも多くあります。今回はそんな中から一例です。
Aさんの相談は、「今日スマホの音声に合わせて一階で運動してたんです。早朝に。そしたら二階で寝ていた夫がうるさい、っていって起きてきて文句を言うんです。私、中年になって体調も悪い日が多くて。早起きや運動はいいことなのに、夫はわかってくれず、不機嫌なまま、挨拶もせず出勤していきました。最近は会話も少なくなってしまって……私が悪いのでしょうか?」というものでした。
自分の趣味や活動を理解してくれないという悩みにも見えますが、今回はこのケースを深堀していきます。
Aさんにとって運動はもちろん良いことですが、同じ住宅内では結構な物音になってしまい、まだ寝ていたかったパートナーを起こしてしまう結果になりました。
彼女は「私は正しいことをしているんだから、夫は少しくらいうるさいのは我慢すべき」という考えから離れられず、夫の「ゆっくり寝たい」という気持ちを汲み取ることができていません。
さらに、「うるさい(から静かにして)」というニーズの表明に対しても、逆に「文句を言われた」と攻めてしまいました。「不機嫌で挨拶もせずでかけた」と、むしろ相手を悪者にしてしまいました。ケアが足らないばかりか、攻撃してしまったのです。
僕はAさんに音を立てるのはわかっていたはずなのに、なぜイヤホンを使ったり、時間をずらしたりするなどの工夫をしなかったか聞いてみました。
「私は朝型なので早朝にやると調子がいいんです」とAさんが答えます。しかし、本人もそれが答えになっていないことを自覚しているのか、しばらく経ってAさんは、「私わざとやってたのかもしれません」と打ち明けてくれました。
「夫が出かけた後なら、音を立ててもかまわないのに、実は在宅中、それも寝ているときに聞こえよがしにやっていたのかも」と。
本当は夫と楽しい時間を共有したかった妻の思い
DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:えいなか
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