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“刑務所なのに”食事はステーキ?増加する「外国人受刑者」の実情

「アジア人、アメリカ人、イスラム教徒、ヒンズー教徒など、外国人受刑者も多様化が進んでいるので、所内は大変ですよ。対応もどんどんと変えていかなくてはならないでしょうね」 そう語るのは、元刑務官のE氏(47歳)だ。 今回は、特殊犯罪アナリストである筆者がE氏に「増加する外国人受刑者」についてインタビューを敢行。外国人受刑者にまつわる通訳制度や、ラマダンの断食への配慮、母国受刑制度、移送条約など……様々な問題に刑務所がどのように対処しているのかなど、興味深い話を聞くことができた。
刑務所

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「日本人とは違う処遇が必要な外国人」の存在

日本の国籍を持たない外国人と言っても、永住者、特別永住者などの資格で長期に日本で暮らす日本の風習、文化、日本語にも精通した者、一時的に来日してきた者の3種に分類される。    そのため、日本の刑務所に収容する際は、この3種の外国人を同じように処遇することはないと言われている。 それは、受刑者の処遇の中心的役割は《矯正処遇作業》、《教科指導》、《改善指導》だからだ。外国人受刑者の言語への理解などをしっかりと見極め、行うことが重要だ。そうじゃないと意味がない。 区分のひとつには、「日本人とは違う処遇が必要な外国人(※これを《F受刑者》と呼ぶ)」があり、A(初犯)、B(累犯)、L(長期刑)のような日本人受刑者の符合と同じく分類されている。具体的には、日本語が理解できない、文化の違いが著しく、配慮を要する者を指す。

F受刑者が収容される刑務所が急増

ちなみにF受刑者の増加に伴って、彼らが収容される施設は増えに増えた。府中、横須賀、栃木、大阪、札幌、横浜、黒羽、名古屋、神戸、和歌山、広島、福岡、福島、前橋、甲府、新潟,静岡、京都、高松、川越、奈良(※少年刑務所)、栃木、和歌山、などなど21施設(男子と女子)と急増している。 そこで、F受刑者を中心とする外国人受刑者については、習慣や言葉の違い、親族との面会の困難さなど、受刑生活上壁になるものを排除するため、そして犯罪傾向の改善や更生、社会復帰を促進するために「国際受刑者移送制度」も導入されている。 この受刑者移送条約を行える締約国は55ヵ国で、日本はこれらの諸外国と受刑者の移送を行うことが可能だ。 「ちなみにこの条約を締結していたとしても移送を拒否する国もあり、受刑者が宙ぶらりの状態になることも少なからずあります。なんのための条約なのか疑問ですね」
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受刑者が過ごす1日のスケジュール
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作家として複数連載、著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。各ポータルサイトで編集長、文化人タレントとしてテレビ・ラジオ・web番組出演多数

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