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“刑務所なのに”食事はステーキ?増加する「外国人受刑者」の実情

受刑者の食事にステーキが?

所内でも非常に難しい問題がある。それが食事である。彼らの食習慣や口にしてはならない食材の宗教戒律に合わせた配慮が必要なようだ。また、それに加えて“見えざる力”が働く場合もあるという。 《日本人受刑者の食事例》 朝食:昆布つくだ煮、マグロフレーク缶、白菜漬物、みそ汁、麦飯(白米7:麦3) 昼食:チキンカツ、卯の花の炒り炊き、麦飯 夕食:豚汁、カボチャの煮物、煮びたし、麦飯 《とある米軍受刑者の食事例》 朝食:スクランブルエッグ、ビーフパテ、トースト、シリアル、フルーツ 昼食:ポテト、パスタ、ニンジン煮、ビーツとオニオン 夕食:ペッパーステーキ、ビーフヌードルスープ、スライストマト、パインアップルサイドダウンケーキなど 「米軍受刑者に対する『特別に豪華なメニュー』が一時問題になったことがあります。受刑者にステーキなどを提供することなどけしからんというわけです。なにか政治的なものがあるんじゃないか、と」 さらに、イスラム教徒のラマダン月の際には、食事制限(断食)の考慮もされる。さすがに宗教の自由に踏み込むわけにはいかないということだ。 《その他の宗教上の理由がある受刑者の食事例》 ・ヒンドゥー教=牛肉はダメ→鶏肉 ・イスラム教=豚肉はダメ→鶏肉 ・米食→パン食 ・ベジタリアン食 各房に配食を行う担当者も細心の注意を払うわけだが、実際に調理する炊事夫は様々な配慮に悪戦苦闘するそうだ。「刑務所中で一番きつい」という称号は伊達ではない。 ===== 外国人受刑者への処遇がお分かりいただけただろうか。いずれにせよ、現場の努力で成り立っていることは間違いない。今後さらにグローバル化が進んでいくとしたら、一番割を食うのは彼らなのではないだろうか。 <取材・文/丸野裕行>
作家として複数連載、著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。各ポータルサイトで編集長、文化人タレントとしてテレビ・ラジオ・web番組出演多数
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