「200円の負担すらケチる」田舎のシルバー民主主義のヤバさ/猫山課長
【日本の99%は山手線からは見えない 第4回】
ある会議に出席した僕は、場が凍りつくくらいにキレてしまった。相手は高齢者だ。久々に血が沸騰するのを感じた。こんなことは滅多にない。
昨年、僕の住む町内の「役」が回ってきた。所属する班の班長だ。班長は輪番制になっており、断るわけにはいかない。もし断ったら何を言われるかわからないからだ。嫌々ながらも二つ返事で引き受ける。
毎月1回、公民館で班長会が行われる。参加するのは町内会長と副会長・会計・書記の三役、そして各班の班長で、合計15人ほどだ。
僕は40代半ばだが、見る限り最年少だ。そう、そんな地域なのだ。
そして会議といってもほぼ連絡事項を伝えるだけの会は、はっきり言って参加する意味もない。SNSで資料を展開すればいいだけの話。恐らくは40年前から何も変化していない。
マンネリの極地みたいな会議なのだから、今日も何事もなくさっさと終わってくれるだろうと思ったら、ある班長が発言した。
「祭礼の費用をもっと削ってもいいのではないか。町内の中には年金だけで暮らしている人がたくさんいる。その人たちの負担を減らしたい」
発言したのは70歳を超えたジジイだった。僕は一瞬で怒りが沸騰した。
「お祭りはこの町内の子供たちも楽しみにしているでしょう。確かに人数は少なくなっているけど、なおさら大切にしなければならない。予算を削るのはどうかと思いますよ」
怒りで余計なことを言ったと思ったが、そのジジイはさらに余計なことを言って僕の怒りを煽った。
「私は多くの人から言ってくれと頼まれて代弁している。それが多数の意見だと思っている。なんならアンケートを取ってみてもいい」
リミッターが外れる音がした。こいつを叩きのめせ。本能がそう叫んだ。
「この町内の多くが高齢者だということは知っていますが、多数決の原理で高齢者の意見ばかり採択していたら若い世代は町内に残ってくれますか? そんなのシルバー民主主義じゃないか。数の暴力でしょう。そんなんだったら僕はこの町を出て行きたいなあ!」
ジジイは赤い顔をしている。ザマアミロ。
参加しないと何を言われるかわからない、町内の班長会議
ジジイは言った「私はみんなの意見を代弁している」
金融機関勤務の現役課長、46歳。本業に勤しみながら「半径5mの見え方を変えるnote作家」として執筆活動を行い、SNSで人気に。所属先金融機関では社員初の副業許可をとりつけ、不動産投資の会社も経営している。noteの投稿以外に音声プラットフォーム「voicy」でも配信を開始。初著書『銀行マンの凄すぎる掟 ―クソ環境サバイバル術』が発売中。Xアカウント (@nekoyamamanager)
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