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「200円の負担すらケチる」田舎のシルバー民主主義のヤバさ/猫山課長

昔は反体制を誇っていた気骨ある人だったのに

 そもそも、そのジジイが町内会長だった時にも、僕は班長をやっていた。そのときのジジイは明らかに反体制を気取っている感じで、町内の既存勢力に対して煙たい存在であることを誇っている節があった。おお、気骨があるじゃん。そう思っていたのだ。  それが10年以上経ったら自分にとって都合のいい論調に迎合し、先人としての威厳もへったくれもない安っぽい近視眼的な人物に成り下がっていた。数の暴力でマイノリティを封殺しようとしていた。  もちろん、ジジイの言い分もわかる。年金だけで生活している人が多いのも事実だろう。  僕の住む地域は富裕層が住む地区などではなく、普通の田舎の団地だ。年金暮らしであれば日々地味に生活するだけで精一杯なのは間違いがない。少しでも節約したい気持ちもわかる。  しかし、ジジイが「負担が重い」と主張した額は、ひと世帯につき月200円ほどだった。  月200円……。たったそれだけの金額を、地域の子供たちのために拠出できないという。  そんな人物たちが、田舎では大多数を占めている。田舎が、これから「まともな選択」をしていける見込みなんてものがあるのだろうか。

22年後の東京は今の秋田県よりも高齢者率が低い

 内閣府が公表している「令和4年版高齢社会白書」によれば、65歳以上の人口の割合である高齢化率は28.9%となっており、約3人に1人が高齢者だ。  しかし、地域別に見ると大きな差がある。高齢化率が最も低いのが東京都で22.9%。最も高いのが秋田県で38.1%となっている。  面白いことに、この資料には令和27年の予想高齢化率も記載してあり、今から22年後の令和27年における東京の予想高齢化率は30.7%で、今の秋田県よりも低くなっているのだ(ちなみに秋田県は50.1%)  いずれ日本は高齢者ばかりの国になると言われているが、22年もの年月が経過しても、東京は現在の秋田県のようにはならない。  つまり、地域におけるシルバー民主主義の害悪は「田舎特有の問題」であり続ける可能性が高いのかもしれない。国全体においてシルバー民主主義は問題になるだろうが、生活レベルにおいて東京は今の田舎と同程度になる可能性は低そうだ。  全員ではないが、高齢者は変革を嫌う。「自分達が生きている間は変えて欲しくない」、「負担を増やしたくない」と考えるのは理解できる。自分が高齢者となったときにそう考えないと言いきることはできない。
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若者はなんとしても東京に住むべき
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金融機関勤務の現役課長、46歳。本業に勤しみながら「半径5mの見え方を変えるnote作家」として執筆活動を行い、SNSで人気に。所属先金融機関では社員初の副業許可をとりつけ、不動産投資の会社も経営している。noteの投稿以外に音声プラットフォーム「voicy」でも配信を開始。初著書『銀行マンの凄すぎる掟 ―クソ環境サバイバル術』が発売中。Xアカウント (@nekoyamamanager

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