更新日:2023年09月08日 06:57
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子供部屋で勉強するのは日本だけ…一級建築士が指摘する「日本の子供部屋がネガティブな影響を及ぼす」理由

“アメリカの子供部屋”は眠る場所

 アメリカ由来だった子供部屋。ただ、その内実アメリカの子供部屋と日本の子供部屋は似て非なるものなのです。  結論から一言でいうと、アメリカでは「寝室」として使っているのに対して、日本では「日中過ごす部屋」として使っているという点です。  アメリカでは、基本寝る時だけ部屋に入り、日中は子供部屋にいません。現にアメリカで行われる説教のひとつに「今から1時間部屋に入って反省しなさい」という言い回しがあるほどです。  日本人から見たら、「それがどうしたの?」と思うかもしれません。しかし、日本でいうところの「これから一時間押し入れに入っていなさい!」というのと同じぐらいインパクトのあることといえるでしょう。

先進国の中では特殊な環境だった

 前述したようにアメリカでは寝室としての扱いでしたが、それに対して日本では日中から部屋で過ごし、挙句の果てには勉強をする場所としても使い始めました。   「寝室で勉強する」という行為は、他の先進国から見たら奇異な行為に見えるのですが、今の日本では子供部屋で勉強するのが普通のこと。  子供部屋で勉強をするというライフスタイルを東南アジアなどに普及させたのが日本でした。世界で初めて子供部屋で勉強をさせるという習慣を取り入れた国は日本だったのです。  ちなみに、本家本元のアメリカの子供部屋は、整理整頓やインテリア構築能力を磨き、自分の空間をコントロールする方法を身につけさせ、一人で過ごすことで自立心を育ませる場所です。勉強などは、親がそばにいるダイニングやリビングなどで行います。
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「人がいると集中できない」は思い込み?
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1970年、神戸市生まれ。一級建築士、株式会社G proportion アーキテクツ代表取締役。「地球と人にやさしい建築を世界に」をテーマに、デザイン性、機能性、省エネ性や空間が人に与える心理的影響をまとめた空間心理学を組み込みながら設計活動を行っている。これまで120件の家や幼保園、福祉施設などの設計に携わってきた。クライアントには、上場会社の経営者やベストセラー作家をはじめ「住む人が幸せになる家」のコンセプトに共感する人が集い、全国で家づくりを展開中

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