更新日:2023年09月08日 06:57
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子供部屋で勉強するのは日本だけ…一級建築士が指摘する「日本の子供部屋がネガティブな影響を及ぼす」理由

子供部屋で勉強することの弊害とは

 さて、子供部屋で勉強する習慣が根付いた日本では様々な弊害が顕在化しています。  中でも一番大きな影響を及ぼしたのが「一人っきりで静かな場所で集中して勉強できる」という環境を与えてしまったことです。 「静かな環境が手に入って勉強に集中できる、何も悪いことは無いのではないか?」と多くの人が普通に思うかもしれません。しかし、これは「静かな環境でないと集中できない癖が身についた」と言い換えることも出来ます。  実際、人がいたら集中できない、人がいる前で何か話をしようとすると頭が真っ白になるという現象は「普段から静かな場所で集中する癖」を身につけてきた代償なのです。

「人がいると集中できない」は思い込み?

「自分は本番に弱い」と感じている日本人が多くいますが、これもこの癖が及ぼした影響で、その人自身の才能とは本来何も関係していません。しかし、思い込みというものは怖いもので、自分自身がそういう人間だと考えてしまうのです。  そして、「勉強=一人きりで静かな環境でやるべきこと」という意識が普通になり、大人になっても、人と共同作業で何かをすることが苦痛な人、人がいると集中できなくそれがストレスで鬱になる人が続出していきます。  本来なら仕事は、チームワークで共同作業の上に成果を出していくものが大半を占めるにも関わらず、それを苦手にする人ばかりが増えたのです。これでは世界的に勝てるわけがありません。  これが、日本の子供部屋を通じて多くの日本人が弱体化してしまった大きな原因なのです。
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大人になっていたとしても遅くはない
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1970年、神戸市生まれ。一級建築士、株式会社G proportion アーキテクツ代表取締役。「地球と人にやさしい建築を世界に」をテーマに、デザイン性、機能性、省エネ性や空間が人に与える心理的影響をまとめた空間心理学を組み込みながら設計活動を行っている。これまで120件の家や幼保園、福祉施設などの設計に携わってきた。クライアントには、上場会社の経営者やベストセラー作家をはじめ「住む人が幸せになる家」のコンセプトに共感する人が集い、全国で家づくりを展開中

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