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悠仁殿下お一人が背負う「皇位継承の歴史」/倉山満

悠仁殿下お一人が背負う皇位継承の歴史

「深曽木の儀」の習礼(リハーサル)に臨まれた悠仁さま

五歳を迎えた男児が伝統の装束を身に着ける皇室の伝統行事「着袴の儀」に続き、碁盤の上から飛び降りる儀式「深曽木の儀」の習礼(リハーサル)に臨まれた悠仁さま 写真/宮内庁 提供

 皇位継承問題とは何か。神武天皇の伝説以来の歴史を、悠仁殿下お一人が背負っておられる。悠仁殿下の御代をお支えする体制の構築こそが、喫緊の課題だ。  これは長年の懸案であったが、菅義偉内閣が有識者会議を招集、「旧皇族の男系男子孫の皇籍取得」の方針を取りまとめ、岸田文雄内閣になって政府は報告書を両院議長に提出した。各党会派は政府報告書に対する意見書を提出することになっているが、今のところ提出したのは日本維新の会だけだ。他の党派は、事の重大性をどのように認識しているのか。政党である以上、有権者にその重大性を伝える義務こそあるだろうに。これこそ最も重大な“宿題”だ。

一度の例外も無く続いてきた男系継承

 そもそも、皇室とは何か。日本国を作った神様の子孫である。『日本書紀』によれば、タカミムスビという神様に命令されて、ニニギノミコトが地上を治めるべく天上から降り立った。これを天孫降臨と言う(異説では、アマテラスの神勅によると言う)。  そのニニギノミコトの曾孫が、神武天皇である。神代はタカミムスビの後になって、神様の性別が分かれてからイザナギの息子の息子……と系譜がつながり、ニニギノミコトから神武天皇へとつながり、人代は神武天皇の後、息子の息子……と系譜がつながり悠仁殿下に至る。悠仁殿下が神武天皇の伝説以来の歴史を受け継いでいる重みがわかろうか。  この男系継承は、今まで一度の例外も無く続けられてきた。この伝統を続けるか続けないか、日本にこれより大事な政治の問題は無い。

大御心は悠仁殿下にある

 悠仁殿下は、先帝陛下からも皇位継承者として期待されている。  一般の七五三に当たる儀式を、皇室では「着袴の儀」と言う。悠仁殿下が5歳の平成23(2011)年にも行われた。本来は春に行われるはずだったが、東日本大震災で延期となり、11月3日に行われた。言うまでもなく、明治の日だ。悠仁殿下に、偉大な帝王だった明治天皇のように育ってほしいとの期待がわかろう。  当時の天皇陛下(今の上皇陛下)から着物が送られた儀式だ。この時に送られた着物は、襟の綴じ糸が山科流だった。通常の綴じ糸は高倉流と言って、斜め十字に綴じられている。ところが、悠仁殿下が送られた着物の綴じ糸は、山科流と言って縦十字だった。これは有職故実に詳しい人たちに、衝撃と感銘を与えたと聞く。  大御心は悠仁殿下にある、と。
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平成時代、天皇陛下と皇太子殿下だけが許された綴じ糸
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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