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北朝鮮、8月17日に国境開放か? 平壌往来再開で観光業も復活の兆し

春先から見られていた国境封鎖緩和の兆し

 北朝鮮が、国境封鎖を緩和や解除するきざしは、今年春先からみられていた。  中国には、北京や瀋陽、大連などコロナ禍で帰国できずに居留し続けた北朝鮮関係者が少なくない。交流がある中国朝鮮族に言わせれば、「精鋭メンバー」が残留しているとのことだ。  中国に残る北朝鮮関係者たちは、口をそろえるように、今年5月頃までは、「平壌からの話で今年中の往来再開は難しいと聞いている」と話していた。     ところが、5月中旬に9月23日から浙江省杭州で開幕する「アジア大会」へ北朝鮮が選手、コーチ、関係者など総勢200人ほどを派遣することが発表された。  この情報から、中国の旅行業界では、「アジア大会が終了する頃には、北朝鮮は国境を開放させるかも?」とうわさが出るようになった。  さらに、6月25日には、先行で1月8日からエリア限定で中国人の出張往来が再開している羅先特別市の北朝鮮側のイミグレーション職員が、1月以降ずっと着ていた防護服を脱いでいることが確認された。  さらには、コロナ禍直前に帰国したまま中国へ戻れずにいた北朝鮮領事館丹東出張所の所長が、中国へ戻り復帰したことも確認されている。  丹東は、中朝最大の貿易都市のため、中朝貿易の本格再開へ向けたための復帰、とも考えられるが、国境開放への準備でもあった可能性もある。

入国時隔離の有無など懸念点はいまだ多い

 仮に、北朝鮮が国境開放するとしても懸念点は少なくない。  たとえば、北朝鮮入国時の隔離の有無だ。おそらくないと考えられているが、もしかすると、観光客には、短期間でも隔離を実施する可能性もゼロとは言い切れない。   また、日本人向けの北朝鮮観光再開前に、日本からの友好団体や親朝団体などの訪朝は、先んじて再開されるとみられる。しかし、ここには中国の査証(ビザ)問題が横たわる。  中国は、コロナ禍前までの日本人向けのビザ免除処置を凍結したままだ。  中国国内の報道では、「日本は外交上の慣習である『相互主義』に反している。中国人をバカしている」などの論調が目立つ。  要するに、ビザ免除再開の条件として、中国人向けのビザ免除をせよと日本へ要求していると考えられる。  しかし、日本政府が応じる可能性は低いことは、中国サイドも理解していると思われる。そのため、内政へ利用をしているのだろう。  現在、中国のビザ取得に3、4週間かかる状況が続いている。この状況は、今後しばらくは続くと思われるため、友好訪朝団にとっては、経由国である中国入国が大きな懸念の1つとなりそうだ。     <取材・文/中野 鷹>@you_nakano2017
なかのよう●北朝鮮ライター・ジャーナリスト。中朝国境、貿易、北朝鮮旅行、北朝鮮の外国人向けイベントについての情報を発信。東南アジアにおける北朝鮮の動きもウォッチ。北レス訪問が趣味。 Twitter ID @you_nakano2017
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