更新日:2023年08月24日 20:07
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「家賃の安い団地に親を置き去りに…まるで姥捨て山」“庶民の憧れ”だった団地の悲惨な現状

「詐欺師すら近寄らない」限界団地の最終形

『ルポ[日本の絶望団地]』張り紙

神奈川県平塚市にある団地の張り紙。住民は「外国人はいい人も多いけど、治安がいいとはいえないね」と話す。その外国人も出ていくばかりだ

 住民と住居の2つの老い。まさに限界を迎えつつある団地のリアルを確かめるべく、実際に団地に足を運ぶことにした。 「帰ってきたのかい」  神奈川県平塚市にある団地に足を運ぶと、老婦人にそう声をかけられた。どうやら息子と間違えられたらしい。  いくら説明しても誤解は解けず、心苦しくも息子として“母”に話を聞いた。 「少し前まで外国人が大勢いたけど、ここは家賃が2万円前後と安いだけが取り柄のボロ団地だから、お金を貯めてみんなどんどんいいところへ移り住んでる。ここは貧乏老人ばかりで、詐欺師すら近寄らないわよ」  戦後、平塚市は工業都市として発展。団地は外国人労働者の受け皿となり、現在も15%強が外国人世帯だ。しかし、外国人向けの食品店は閑散とし、道行く人々は日本人高齢者が多い。
『ルポ[日本の絶望団地]』団地の住民

「新しい入居者は募集してない。朽ちていくだけ」と話す団地近隣の住民。’25年度から徐々に建て替えが始まるという

 長年、団地近隣で商店を営む鈴木茂さん(仮名・70歳)は、こう諦観する。 「若いのはどこかへ引っ越し、家賃の安いこの団地に親を置き去りにして体のいい老人ホームとして使っている。県も見て見ぬふりだ。言い方は悪いけど、老人のほうが“近いうちにいなくなる”から、建て替えに都合がいいんだろうね。いよいよここは姥捨て山だよ」  外国人すら逃げ出してしまう団地こそが“限界団地”の最終形なのかもしれない。

外国人居住者とのトラブルが激化する団地も

 一方で、現在進行形で外国人居住者とのトラブルが絶えない団地もある。神奈川県横浜市と大和市にまたがる団地だ。この団地は住民の国籍が20か国以上という日本有数の多国籍団地で、外国人世帯率は20%以上に及ぶ。取材当日は外国人を見かけなかったが、日本人の住民たちは戦々恐々としている。 「外国人が夜な夜な広場で酒を飲みながら花札をして騒いでいて、ケンカも絶えません。仲裁に入った警察官が木刀で殴られたときは、さすがに大ごとになったけど」  そう話すのは、この団地に10年住んでいる小沢浩一さん(仮名・66歳)。また、それ以上に深刻なのが、高齢者間でのいじめの横行だという。昨年、越してきた若林由美さん(仮名・61歳)が乗る自転車は傷だらけだった。
『ルポ[日本の絶望団地]』団地の住民

若林さんが乗っていたボロボロの自転車。嫌がらせをうけて破壊されたベルやライトは、テープで修復している

「根も葉もない噂を流されたり、物を盗まれたり、自転車を壊されたり……。最近は体調も優れず、きっと悪い電波を飛ばされてるんだと思います。昔からここの住民は新入居者いびりが酷く、近隣から『いじわる団地』と蔑称されているようです」  この団地の高齢者世帯率は60%。高齢者と外国人で住民の8割を占めるこの団地には、住んでみないとわからない問題があるようだ。
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チェーン店が撤退するなか、残った店から分かる住民の特性
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