いまだ大論争を巻き起こしている「老後資金2000万円問題」。2000万円という金額はともかく、遠い先の話と思わず、今から対策を講じないと老後を乗り切れないことだけは確かだ。

’49年、東京都生まれ。喫茶店時代の年収は1200万円(’80年代前半)あったが、女とギャンブルにハマり、貯蓄はしなかった
「とても生活できない」独居70歳のリアル家計簿
梶本徳三さん(仮名・70歳)は5年前まで都内で喫茶店を経営していたが、会社勤めの経験はなく、現在の収入は月額約6万5000円の国民年金のみ。15年前に離婚してからずっと一人暮らしだ。
「喫茶店を閉めたとき、残った貯金は300万円ほど。年金暮らしになって5年になるけど、その貯金は180万円にまで目減りしてしまった。けど腰が悪くてバイトもできない」
住まいは家賃2万7000円、風呂なし、共同トイレのアパートだ。
「家賃を払ったら、月に使えるカネは4万円程度。計画的に使わないとエラいことになる。医者にはかかれないのが、年金オンリー暮らしでは常識。熱が出ても、腹を壊してもガマンするしかない」
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<国民年金のみで暮らす梶本さんの収支明細>
収入 月6万5000円(年金2か月分・約13万円)
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支出 計7万2350円
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・家賃 2万7000円
・水道光熱費 3200円
・携帯電話代 1000円
・米(5kg) 1500円
・卵ほか食材、おやつ代 1万5000円
・缶酎ハイ10本 1000円
・タバコ(フォルテ270円×15箱) 4050円
・外食代 1万円
・交通費 1700円
・散髪代 1000円
・銭湯代(都内共通回数券10枚)4400円
・新聞雑誌代 2500円
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そんな梶本さんだが、年金が入った6月の収支はまとめた通りだ。ざっと計算して、約7000円の赤字。そのしわ寄せは、年金の入らない翌月に行くことになる。梶本さんは言う。