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『サンデーモーニング』を“降板”して音声配信者に。橋谷能理子「ホームに戻ってきた感覚」

取材で見極めたい「質問していいライン」

――デリカシーのない取材がSNSで問題になる事が多い昨今ですが、震災の当事者の方々に対して取材を行う際、どのようなことを意識されて臨まれましたか? 橋谷:まず、自分は興味本位では取材に来たわけではないことを相手にしっかりと伝えます。もちろん、仕事で取材をしないといけない立場ではあるわけですが、取材相手には、ここまでは質問していいライン、というものが絶対に存在します。  大事なのは、相手の表情をとにかく観察してそれを見極めることです。それに加えて、最初は雑談から入り、自分を信頼してもらうところから始める。その上で、徐々にコミュニケーションを詰めて行って、聞きたいことの核心に迫っていく。これが大事だと思います。  デリカシーがない、と話題になってしまうアナウンサーは、それを自分が聞かれたらどう思うか? 仕事だからを言い訳にしてないか、そこの意識が足りないから問題になるようなことを起こしてしまうのかと思います。

短い時間でいかに物事を的確に伝えるか

橋谷能理子――著書『伝わる力』では、さまざまな場面で使えるコミュニケーション方法を書かれております。アナウンサーのどんな経験から執筆されたのでしょうか? 橋谷:取材経験から、とにかくコミュニケーションの前提には人間関係があると思っています。まずは自分を信頼してもらう、まずはそこから、ということを大事にしていますね。  あとこれは、生放送をたくさん経験したからこそ書けたことかと思っていますが、ディレクターから「これを15秒で要約して!」とか、残り30秒を埋めないといけないとか、瞬発力を求められる瞬間がとにかく多かったんですね。  その経験から、短い時間でいかに物事を的確に伝えるか、という方法論も書かせてもらっています。これはビジネスのプレゼンテーションなどにも活かせると思います。
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大変だった「育児とアナウンサーの両立」
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